お久しぶりです。
最後の更新から3年も経ってるんですね。放置もここまで来ると清々しささえ覚えます。
今まで何をやっていたかと言うと、2015年に都内のとある音楽専門学校に入学し、ドラマー・ドラムテック(ドラムのメンテナンス・チューニング・シンバルの修理等)としての技術を学びに行っておりました。
楽しいながらも血反吐を吐きそうになるほどキツい日々を2年間過ごし、無事卒業致しました。
現在は都内の某楽器屋で働いております。日々珍しい楽器を見てはテンションが上がるというマニアぶりを拗らせながら日々を過ごしています。
店員として働きながらも、バンドのドラムサポート、ドラムテックとしての仕事もしております。
直近の仕事としては、同級生のアーティスト「ワタナベタカシ」氏のレコーディング時のドラムテック↓
まず感じたのは、塗装する前と比べて、タイトで引き締まったサウンドになったのではないかと思いました。厚く塗装したおかげで、シェルの振動が抑えられたからではないかと思います。
更に、ハイピッチの時には独特の反響音が加わったように感じました。これはおそらく内側の塗装の影響かなと。
そもそもなぜ漆を塗ることにしたかというと、自分のスネアドラムを製作して頂いたmiddlecentre instrumentsのラインナップにある、「杉」で作ったスネアドラムがきっかけでした。
結果としては大成功ですね。6プライメイプルというノーマルなスネアサウンドに、自分好みの色が着いてとても嬉しいです。
そんなわけで、スタジオに入ったついでに、初めての叩いてみた動画を作ってみました。
iPhoneにZoomiQ5を着けて撮影し、iMovieで曲と動画を合わせました。イコライザー等は一切かけず、曲と動画の音量を調整しただけです。iPhoneだけで撮影、編集、アップロードが出来たのは驚きです。iPhone内であればiMovieを無料で使えるとのことでチャンレンジしたのですが、運よく成功に終わって大満足です。
http://youtu.be/T1Ryw6Y-3e0
ナチュラルウッドから一変して、一気に渋い見た目になりました。フープやラグを黒塗装のものにすればより一体感が出ると思いますが、そこはご愛嬌で。
想像で名前を付けるとなると、外側は「曙塗り・蝋色磨き仕上げ(表面を磨いて光沢を出す)」。内側は透を塗って研ぎ出しをしていないので、「塗り立て仕上げ(塗り放し?)」となるのでしょうか?
3回目の塗装の後、2000番のヤスリで水砥ぎを行い、表面の凹凸を取り除きました。
そしてここから「中塗り」という作業に移ります。さらに別の色の漆塗料を塗り重ねていきます。
色はこちら↓
前回と同様、薄め液で希釈してから塗装します。
東邦うるしと比べて、こちらの方が粘度が低く、サラサラしていました。東邦うるしよりも有機溶剤の刺激臭が強かったので、恐らく和真の方が有機溶剤を多く含んでいるのだろうと思いました。
付属の説明書によると、「同梱されているネットで塗料を濾してから使用するように」、とのことですが、面倒なのでそのまま容器にあけて薄め液で撹拌して使用しました。
まず1回目。
最初の塗装でここまでツヤが出るとは驚きました。すでに鏡面仕上げしたかのようです。
そして1000番の耐水ヤスリで水砥ぎを行い、表面の凹凸を出来るだけ無くしていきます。前回の透よりも、光沢でどこが研磨されていないかが分かりやすかったです。
この研磨の作業はとても大変ですが、中途半端な研磨をしてしまうと、次の塗装の際に塗料が均一に塗れなかったり、仕上がりが雑になってしまうので、出来る限り丁寧にやっていきます。
スネアドラムを制作して頂いたり、カバリングを剥がして再塗装をしてみたり、タムをバスドラムへ改造したり、小さいながらもドラムセットを持つことが出来たりと、何やかんやとドラム関係においてかなり充実した一年だと、年明け前に確信できそうな感じです。
楽器もハードウェア類もある程度充実したこともあり、多少落ち着いた期間があったのですが、ふと思い出したことがありました。
今年の一月、記事にて紹介したハードオフのジャンクコーナーに格安で置かれていたジョン・JR・ロビンソンのシグネチャースネア。
ラグを止めるネジがサビまみれだったので、特別に譲って頂いた代替パーツに加えて、ホームセンターで口径の合うネジとワッシャーを購入して交換し、何とか状態を改善することが出来ました。
あまり中古市場には出回らない楽器ですが、元は5000円弱でジャンク扱いされていたこともあり、いっそ何か手を加えようかと、様々なアイデアを調べたり教えて頂いたりしながらも、結局今に至ることになってしまいました。
しかし、先に行ったスネアの塗装で、図画工作が苦手な不器用人間でも、何とか形になった事、そして、「出来ることは自分でやってみる」という教え、仮に失敗しても、得られることがあるだろうという楽観的思想から、このスネアの塗装を試みることにしました。
今回用いる塗料はこちら↓
「漆塗り」となると、材料集めや工程のハードルが高いイメージがありましたが、実際そんなことはなく、塗料はホームセンターで1つ250円程度、薄め液もほぼ同様の値段でした。
この漆は、俗に「被れる」と言われる天然の漆ではなく、漆と似た性質を持った植物から作られた合成の油性塗料です。(東邦、和信、カシュ―等から合成の漆塗料が発売されています)
天然の漆と比べて被れない、匂いが少ない、扱いやすいという利点があるとのこと。
刷毛や塗料を溶く皿などの用具は、前回同様100円ショップで揃えました。本当に便利です。
まずはニス塗りと同じく、塗料を塗る面を紙やすりで研磨します。シェルの内側はテカりが少なく、オイルフィニッシュのようだったので、240番→400番の順で研磨しました。240番だけでも大丈夫らしいですが、念のためより細かいものでも研磨することにしました。
布で木くずを取り除き、1回目の塗装。透(すき)を薄めて塗っていきます。透は飴色のクリアーのようなもので、漆器に色付きの漆を塗る前に行われる下地塗りや、仕上げの時に用いられるものです。木目を隠さないので、塗り重ねるほど木目を引き立たせる渋い風合いが出てきます。
余談ですが、この透漆を塗り重ねて仕上げた漆器が、かの有名な「春慶塗」とのこと。
ニス塗りと同様、漆も薄く均一に塗っていくことが重要らしいです。薄め液との配分はとりあえず5:5。もちろん目分量で。ゴムベラで撹拌して塗っていきます。
塗装終了後は、段ボールを組み合わせて作った簡易室(むろ)に入れて乾燥。合成漆は天然漆に比べて、温度・湿度管理にあまり神経質になる必要はないとのことですが、大事なのはゴミやホコリを寄せ付けず、しっかり乾燥させることが大事だそうです。
外側はラッカーコーティングのような塗膜があったので、まず100番のヤスリで塗膜を落としていきます。その後、180番→240番→400番の順で研磨し、手触りと見た目でコーティングが落ちたことを細かく確認しました。布での拭き取りも行います。
その後、塗装した内側を400番で光沢がある部分を無くすよう研磨します。艶を出すのは仕上げの工程になるので、ここでは凸凹を無くして平らにするのが目的です。
2回目の内側塗装、1回目の外側塗装を行いました。
念を入れて更に細かい800番で研磨。3回目の内側塗装、2回目の外側塗装の際に、新しい薄め液と刷毛を用意しました。
高級と書いてありますが、410円程。テレピン油は天然漆を薄める際にも使われる油らしいです。刷毛は100円ショップで買った美術用の刷毛です。
刷毛が良いのか薄め液が良いのか分かりませんが、今までと比べて格段に塗りやすく、あっという間に塗り終わりました。
音色やチューニングやらであれこれ弄ったり、ミニドラムセットのメインスネアとなっています。
とはいえ、年代物であるが故に、カバリングの細かい傷や凹みの多さが気になっていたのも事実。
そこで今回、初めてスネアのシェル加工に手を出すことにしました。いつもより画像が多めです。
まずはカバリングを外すことから着手。使用したのは100均で購入したスクレイパー。
シェル全面に接着剤が塗布されているのではなく、継ぎ目のみが接着されていたので、あまり苦労はしませんでした。しかし、シェルとカバリングが接着していた部分の木材がカバリングと一緒に剥がれしまいました・・・。迂闊。
カバリングを剥がした後は、ヤスリでシェル全体をサンディング。手作業で大まかに均等に。
サンディング終了後、こちらも100均で購入したニスを刷毛で塗っていきます。色はメイプル、けやき、ウォルナットがありましたが、メイプルスネアは持っているし、ウォルナットだと暗すぎる感じがしたので、けやきにしました。「ゼルコバ」ですし(ドラマーしか分からないと思いますが・・・。)
ある程度の時間を置き、表面を細かい(400番)ヤスリで軽くサンディングした後、二回目のニス塗り。
色が濃くなり、ツヤも出てきました。さらに時間を置いて、3度目のニス塗りです。
色もかなり濃くなり、某ドラムメーカーのゼルコバスネアみたく渋い見た目になりました。ツヤ感も上々です。
ここから仕上げの段階に。ニトロセルロースのクリアラッカーを吹いていきます。
youtubeやネットで調べたところ、一息にプシューとするのではなく、細かく・時間を置いて・3回程度重ねて塗布するのがコツとのこと。
良い感じにツヤが出てきました。さらに仕上げとして、オレンジオイルを塗布しました。一応ラッカーを吹いた後でも使用できるとのことだったので。
乾燥させた後、パーツを着けて組み上げます。
真っ赤で派手な印象から一変、とてつもなく渋い仕上がりになりました。個人的に木目柄は大好きなので、かなり満足しています。
一応ラッカーフィニッシュ(もしくはラッカーフィニッシュ・オイル仕上げ)ということになるのでしょうか?シェル表面はツルツルとまでは行っていないので、ある意味「ナチュラルフィニッシュ」とも言えると思います。
よくもまあ図画工作・美術が大嫌いだった人間がこんなことが出来たなと、我ながら不思議に思っています。とはいえ失敗しても自己責任ですし、失敗も勉強のうちと割り切れるから出来た作業だと思います。
何より驚いたのは、100円ショップの品ぞろえとクオリティの高さ。ここまでの作業が安上がりで出来ることはありがたいです。
さっそく公園でセットを組み立ててみました。
リュックの中にはジャングルギグセット、スネアスタンド、ドラムスローンのレッグ部、ハイハットスタンドのシャフト、ハイハットクラッチ、その他小物が入っています。
バスドラムのケースには、バスドラム本体とハイハットシンバル。スネアケースにはスネアドラム本体、ペダル、スプラッシュシンバルが入っています。
ハイハットスタンド、スローンのクッション、シンバルアタッチメントはむき出しですが、意外と安定して運ぶことが出来ます。アタッチメントは別の方法で楽に持ち運べることが判明しました。これは後程。
組み上げるとこんな感じになります。
バスドラムの踏み心地も、一般的な22インチのものと大差はほとんどありません。快適に踏み込むことが出来ます。
この時はバスドラムの打面側にレモのルネッサンス・エンペラーを張っていましたが、バスドラムと言えばパワーストローク3だろう、ということでヘッドも作ることにしました。
まず用意したのはアサプラのPE-250T。表面にエキスパンド・コートがないので、ツルツルしています。
方法は簡単で、へタったヘッドをリングミュートのように切り取って、裏に貼り付けるだけです。
バスドラム用のヘッドっぽくするために、パッチも貼ってみました。
このパッチはスネアドラムを作って頂いたmiddlecentre.Inc の社長から、たまたま余っていた残り物があるとのことで特別に譲って頂きました。
演奏動画がこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=xQzQRwi8ZQE
この動画では、フロント側にファイバースキン3(穴なし、フェルトでのミュート)に替えています。
14インチとは言えど、しっかりとした低音とアタックが出てくれています。踏み心地も、フロントヘッドに穴が開いていないバスドラムとほとんど同じです。
ビーターのリバウンドの処理をしっかりしないと、綺麗なドーンッ!とした音が出てくれません。とても興味深いです。
近いうちに、また色々といじり倒す予定です。
ではでは