僕をふるわせる歌を
Hey Hey Hey Mr.Angryman
空腹の声を早く聞かせてよ
これは斎藤義和の『Hey!Mr.Angryman』の第一小節目。
Mr.Angryman、「怒れる人」という意味ですね。これは、かつてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン『Mr.Tambourine man』からとられた曲であると言われています。その辺は深くは追求しませんが。聞いたことないし。
歌詞をもう一度見てください。というか何度も読んでください。100回聞いてもいいですよ。
僕はこれを聞いた時、たった4行の文字列に魅入られてしまって、しばしの間、曲が終わったことにも気づきませんでした。
そんな、『Hey Mr.Angryman』のただ一つの小節が今回の本題であります。手短に行くぜ。
「僕をふるわせる歌」、とはなんでしょうね。怒ってる人の言葉なのだから、きっと憤怒の念が入り乱れているのでしょう。その時「僕」は「震える」のでしょうか、「奮える」のでしょうか、「狂るえる」なんてのもあります。ひらがなって素敵ですね。何故、表記を簡単にするだけで解釈が膨れ上がるのでしょうね。
なんとなく、僕は「奮える」と解釈しました。
「なんでそんなに怒っているんだ、聞いてやるよ。俺も一緒に怒ってやるからさ。」
そう言ってくれてる気がしたから。
怒りの発散、大変ですよね。僕もこう言ってくれる人が欲しいなあ。と思わざるを得ません。
怒ることはしかたのないことだと、そう思わせてくる。すごい歌詞だなあ。しかもほかの解釈もあるんだろ。すごい。
後半の「空腹の声を早く聞かせてよ」。急かしますね、有無を言わせないって感じですね。
「空腹の声」、これってつまり、「不満」を意味している言葉なんですよね。
(にしてもこの「不満」て言葉、不思議だなあ。
お前、満たされてないんだよな。でも不満なお前は頭の中フラストレーションで一杯なんだろ、どうして不満なんだ。
と。語学的な話。まあ脱線してるのでこの辺で。
いくらでも反論のしようがある疑問だしね。)
では。斎藤義和は何故「空腹」という言葉をチョイスしたのでしょう。それにはいくつかの理由があるのです。
身体学という学問がありまして。目に見えない深層意識に答えを追い求めるのが哲学だとしたら、目に見える、目視的だったり、皮膚的。つまり触覚的な回答を求めるのが身体学というものなのですが、お腹って身体の一部ですよね。
「お前が腹を空かせたら必ず腹が鳴るだろう。空腹を訴えるだろう。腹の音のように、お前も嘘偽りなくお前の不満を言ってくれよ」
そう言っているのです。
そもそも斎藤義和は言葉と嘘に強く訴え続けているアーティストです。そんな人が「嘘なんかつかなくていい」と言っているのです。この優しさ、温かさたるや。言葉に尽くし難い…。
そういえばですが。
日本語にもありますよね。「腹を割って話す」って言葉。これが斎藤義和が出した答えなんですね。彼はこれを「空腹」と表現して歌に載せました。なんだこの表現。天才か。
少々ズレますが、日本語には「割腹」なんて言葉がありますよね。いわゆる「ハラキリ」ってやつ。
ここまで読んでくれた方には分かる人もいらっしゃると思いますが、「腹」は真実である。という言い方も出来ますよね。
何かの疑惑が持たれた人が真実の腹を切って、その中身を見せる。うっ想像するだけで痛え。
殺す直前のただの罰だと思っていた切腹。自ら切らせる意味って、そういう事だったんですね。正しく言葉の無い弁明。日本の情緒らしさ溢れる感じすごい。
実はググってみたら本当の成り立ちがあるのかもしれません。が、僕は敢えて調べません。調べませんぞ。
だって自分で見つけた答えの方を大切にしたいし、その方が素敵でしょ。