10月12日、13日の配信ライブにて、幕を閉じる欅坂46について、改めて書きたくなった。
デビュー年の2016年から心を鷲掴みにされ、「アイドル」というジャンルで初めてコンサートに参加。
握手会は興味がなかったので行かなかったものの、この5年の軌跡をわりと、丁寧に見てきたつもりだ。
同じ坂道グループの乃木坂46、日向坂46と違って、卒業生が出ても派手に送り出されることは長濱ねるを除いて無く、わりと急にやめたり刺激的な形で去っていったメンバーが多いのも特徴だった。
曲名通り「不協和音」が、我々にも伝わってしまっていたグループでもあった。
ただ今回は、欅坂46の単なるファンとして、感謝を込めて、「お疲れ様」と伝えたいのだ。
そういう主旨の記事だ。
だから、いろんな物議を醸したことも含めて、今は「仕方がなかった」と片づけたいところも、ある。
とりあえず書いていく。
①デビュー年はアイドル要素が強かった?
ご存じ、欅坂46は「サイレントマジョリティー」で、社会派ソングという特殊な形でデビューした。
これは確かに衝撃的であったが、2枚目「世界には愛しかない」3枚目「二人セゾン」はアイドル的な要素が強く、デビュー年の2016年は、「サイマジョ」こそ衝撃的ではあったが、あくまでそういう一面も持たせただけであって、
あくまで従来のアイドルの延長
という印象がある。
年末に初のワンマンライブでは、センターの平手友梨奈は笑顔だったし、MCも務めていたのだ。
僕自身、その有明コロシアムでのコンサートは生で見ていたが、やはり「アイドルコンサートを見ている」という感覚であった。
ただ、曲の中にメッセージ的な要素が多いものが、従来のアイドルより多かっただけ、という印象である。
②「不協和音」がすべてを変えた?
思うに、4枚目の「不協和音」がすべてを決定づけたのでは、と分析する。
このリリースは春だから、制作は2017年の年始であろう。
となると、2016年の欅坂46の反応を受けて、「ダークなパフォーマンス」をウリにした方が良い、と運営側が判断したのか、一気に極端に舵を切った。
この曲は紅白歌合戦で2回も披露されたわりには、平手友梨奈のコンディション次第でライブのセットリストに組まれないことも多く、曰く付きの曲である。
この頃からだろうか、ファンにアイドルに興味がない層にも一目置かれる存在となる。
「僕は嫌だ」と強烈に叫ぶ、MVで一切笑わない、こんなアイドルは今まで見たことがない。
個人的には尾崎豊的なものを感じ、アーティスト性に惹かれ、楽曲とパフォーマンスにどんどんハマっていった。
ジャンルは「アイドル」だが「ん~アイドル??」という違和感を持ち始める。
③不安定な活動、避けられなかった終焉
5~8枚目までの活動については、さらっと語る。
2017年から2019年まで、欅坂46の活動は、ひとことでいえば
「不安定」
であった。
平手友梨奈はセンター固定であるが、彼女のコンディションや意思ゆえ活動が止まることもしばしばで、出す曲は素晴らしいのだけど、テレビ番組やコンサートなど、楽しむというより心配することの方が多かった。
ただ、この脆さがまた魅力であった。
心配から幻滅とならずにずっとファンでいられたのは、危うさや脆さを隠すことなく精一杯パフォーマンスしていたのが伝わったからだ。
特に平手友梨奈のパフォーマンスにそれが顕著だった。
彼女は周りから何を言われようともSNSやラジオで不平不満を発信することなく、さらに言えば自分の魅力に無自覚で自信がないようで、全身全霊をこめて曲の世界に入り込み自分のキャパを超えてパフォーマンスしていたように思う。
だからこそ素晴らしく感銘を受け応援していたと同時に、今年1月の脱退はショックであったし、考え直して「やむを得なかった」と思い直したりするのだ。
平手友梨奈がセンターでなくなった欅坂も応援したい気持ちはあったが、過去の自分たちと比べられてしまうのは避けられないだろう。
だからこそ、平手以外のメンバーのためにも一旦欅坂を終わりにする、という判断は、僕は正しいのだと信じたい。
④5年間の活動に対する、メンバーを擁護する
まず、欅坂46に対する批判の声から守りたい、と思う。
メンバーが突然理由もなくグループから去っていくこと、バラエティに全く慣れないこと、など、乃木坂や日向坂が華やかに楽しそうに活動しているのと対比して、いろいろと不満の声が聞こえてくる。
しかし、僕はそれも全部含めて
仕方がなかった
と思うのだ。
欅坂46は従来にないアプローチを取ることを求められたのだ。
当然、世界観を意識してバラエティではじけられないのも仕方がないと思う。
そして、当然人間関係やメンバーの意識のずれ、戸惑いなどもあったろう。
メンバー卒業時に華々しいセレモニーが似合うはずがなかった。
要するに、
誰もやったことがない活動を若い女の子に強いたのだ
バラエティに弱かろうが、誰が卒業しようが、完璧を求めるのは酷ではないか。
最近は、男性問題が発覚しているメンバーが相次いでいるが、これについても擁護したい。
2019年、欅坂46は元々不安定だったところに選抜制度を導入しようとして、ファンや、何よりメンバーを動揺させた。
20歳前後の女の子、このような不安定なグループ運営で身を削ったパフォーマンスをして心が折れそうになったとき、恋愛にすがりたい気持ちが芽生えてもおかしくない、と思うのだ。
グループのルール的には、バレなければ恋愛はOKらしいが、すぐにバレる昨今では実質恋愛NGだろう。
これについては、同情の気持ちがかなりある。
某週刊誌がドヤ顔でスクープを出す度、舌打ちをして「負けるなよ」とひっそり応援しているのは、私である。
~総括~
こんな感じで不安定ながらも、誰もやったことのないアイドル像を見事に演じきった欅坂46は、やはり素晴らしいグループだったと思う。
笑顔で生きる力をもらう、ではなく、歌詞やパフォーマンスで生きる力をもらえるアイドルグループ、それが欅坂46であり、様々な立場で共感や勇気を与えてくれていた。
僕は感謝しかない。
再デビューのグループ名は「櫻坂46」だ。
「欅坂46」は伝説的なグループで、「櫻坂46」としてはまた色を変えて頑張ってほしい。
欅ちゃん、今までありがとう!!!