天心の再起戦は即エストラーダとのWBC王座への挑戦権をかけたビッグマッチとなる
プロボクシングのWBC世界バンタム級2位の那須川天心(27、帝拳)が4月10日に東京で元2階級制覇王者で同級1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(35、メキシコ)と同級挑戦者決定戦を行う方向であることが22日に明らかになった。
複数の米メディアが伝えたもので、エストラーダはESPNのYoutube番組「ESPN KnockOut」に出演して、この試合を認め、「天心は実力があり、サウスポーで動きはいい」とした上で「日本に行って勝つ。誰かの踏み台になる気はない。このチャンスを100%生かす」と豪語。さらに同級王者の井上拓真(30。大橋)への挑戦意欲を明かした。
メキシコの“レジェンド”エストラーダは天心の実力を認めた上で「日本で勝つ」と豪語
天心の再起戦はいきなりビッグマッチとなりそうだ。
WBCが12月の総会で1位エストラーダと2位天心の挑戦者決定戦を両者に指令していたが、両陣営がそれを承諾して、4月10日に東京でAmazonの「PRIME VIDEO BOXING 15」として開催されることが決定的となった。 ESPNやボクシング・シーンなどが報じた。
天心は昨年11月24日に中谷潤人(M.T)が返上して空位となったWBCのベルトを元WBA世界同級王者の井上拓真と王座決定戦として争ったが、0-3判定負けを喫した。
試合後すぐに「やり返します。必ず」と再起を決意。年末からドジャースの山本由伸のトレーナーでもある矢田修氏の大阪の道場へ通い、幼い頃に指導を受けていた元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の葛西裕一氏のジム「GLOVES」を訪れるなどして再スタートを切っている。
実は、井上拓真に敗れたWBC王座決定戦は、当初、天心VSエストラーダの間で行われる予定で帝拳サイドは相手陣営に対戦オファーをしていたが、ずっと拒否されてきたという経緯がある。
今回はWBCが正式に対戦指令を出し、帝拳サイドは即座に了承したが、エストラーダがイエスというかどうかという状況だった。
ESPNのYoutube番組「ESPN KnockOut」に出演したエストラーダは、4月10日に東京で天心と戦うことを認めた上で「ただ一つはっきりさせておきたいのは“相手を自分で選んだわけではない”ということだ。WBCから挑戦者決定戦の指令を受けてこのカードが決まった」と明かしている。
ここまで天心のオファーを受けず、試合数が減っていることに関しては「ここ3、4年、年に1、2試合しかできていない。理由はいろいろある。世界戦や挑戦者決定戦は相手や条件が重要だし、ファイトマネーの問題もある。自分はすでに世界王者を経験し、名前もある。だからこそすべての条件を含めて“自分たちにとって最善かどうか”を考えなければならない」と説明していた。
エストラーダはメキシコのレジェンド的存在の元2階級制覇王者だ。
49戦45勝(28KO)4敗のキャリアを誇るトータルファイターでフライ級時代にはWBAとWBOの2団体を統一し、スーパーフライ級ではWBCとWBAタイトルを統一した。元4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との3度にわたる激闘はボクシング史に刻まれる名勝負でエストラーダの2勝1敗。
元4階級制覇王者の井岡一翔(志成)がずっと対戦を熱望してきた王者としても知られる。
だが、2024年6月にジェシー“バム”ロドリゲス(米国)とのWBC世界スーパーフライ級王座の防衛戦でダウンを奪いながらも7回KO負けを喫して王座から陥落。昨年はバンタム級への転級マッチとして地元メキシコで格下のカリム・アルセ(メキシコ)に3-0判定勝利した1試合しか戦っていなかった。
エストラーダは前出のYoutube番組の中で早くも天心戦に向けて気持ちを奮い立たせている。
「相手(天心)はまだ10戦もしていないので知名度は高くないかもしれないが、実力のある選手。井上拓真とも戦っているしね。自分のキャリア的にも大きな挑戦になる。正直、キャリア終盤に差しかかっているから、このチャンスは絶対に生かしたい。中国(マカオ)には過去2回行ったが、アジアでの試合はこれが3度目。日本に行って勝つ、それだけだ」
そしてこう続けた。
「去年も日本人選手との話があったが実現しなかった。でも今は本当に良いタイミングだと思う。フライ級、スーパーフライ級で世界王者になって、今はバンタム級。新しい階級で新しい挑戦ができるのは嬉しい。心身ともにすごく良い状態だ。こういう世界戦や挑戦者決定戦こそボクサーが待ち望む舞台だからね」
天心と挑戦者決定戦を戦う意義について問われるとこう答えた。
「彼にとっては、自分に勝てばまた世界に近づける大きなチャンスだろう。でも自分にとっても同じだ。バンタム級での世界挑戦、そのための重要な一戦。このチャンスを100%生かす」
エストラーダは、井岡とジョシュア・フランコ(米国)とのスーパーフライ級の2団体統一戦を観戦するために2022年の大晦日に来日経験はあるが、メキシコ、米国以外での遠征試合は、これが3度目。
日本のリングはホームタウンでデシジョンもないフェアな判定で知られるが、「日本で戦う以上KOか、圧勝せねばならないのでは?」と質問され、「そうだね。日本で戦う以上、はっきり勝たないといけない。そこは覚悟している」と返した。
キャンプはメキシコシティで行う計画を立てていて「相手はサウスポーで動きも良い」と天心の特徴を認めた上で、サウスポーのヘルマン・レオン、アルフレド・レオン兄弟と「対策を練っている」ことも明かした。
一方エストラーダにとって「負ければ引退」を突きつけられる正念場の大一番となる。
「もう35歳だ。これからは試合ごとに自分の状態を見て決めていくことになる。もし通用しないと感じたら、無理はしない。ボクシングは命の危険もあり、家族、子供のたまにもそこは大事にしたい。ただ誰かの踏み台になるつもりもない」
天心戦の先に見据えているのは、井上拓真の持つ世界ベルトだ。井上拓真は5月2日に東京ドームで井岡との防衛戦を行う可能性が高いが、エストラーダは、井上拓真の名前を出した。
「この挑戦者決定戦を勝って今年の中盤か後半に世界王座を狙いたい。チャンスが来るなら拓真との試合を狙いたい。3階級制覇は大きな目標だし、メキシコの偉大な王者たちの仲間入りをしたい。そのために全力を尽くす。フライ級では5度防衛、スーパーフライ級でも複数回防衛した。今度はバンタム級で王者になり、さらに防衛し、統一戦をしたい。それが今の目標だ」
そう強い意思を示した。
エストラーダはインタビューの最後に「ファンへメッセージを」と依頼され、こんな言葉で締めている。
「自分はまだ終わっていない。4月10日、日本で全力を出す」
一方の天心にとっても井上拓真との再戦を実現するためには絶対に負けられないビッグマッチ。これが9戦目となる天心が、試合枯れしている35歳とはいえテクニックは健在のレジェンドのキャリアをどう打ち破るか。大きな試練マッチとなる。正式発表が待たれる。








