どうも、お久しぶりです。
気づけば、ボストンに留学して10か月が経ちました。
とりあえず英語に関しては話せないけど、変な英語でなんとかなる。
聞き取りは50%できる、残りは予想とノリみたいな感じで生きてます。
でもストレスはかなり減ってきました。心も強くなってるのかもしれません。
フロリダに引っ越し
先日、ボスから突然の一言。
「8月末にラボ移転するよ。引っ越し代も出すし、給料も上げるけど、一緒に来る?」
…急すぎる。
せめて3か月前には言ってほしかった(子供の学校どうすんの…)でも給料上がるしな、と思って僕は「はい」と答えて現在に至ります。
その後驚いたのは、「給料は自己申告制」という謎システム。紙に自分の希望額を記載してラボマネに渡すシステムです。
強気に出れば上がるっぽいんだけど、「いや、今のままで…」と謙虚にお願いし、後日、妻にしっかり叱られました。
アメリカ人の仕事に対する考え方
今回のラボ移動で実感したのが、アメリカ人ってマジで勝手。でも、それが普通。
引っ越しの話もギリギリまで言わない(早く言うと他の人がボストンで就活しちゃうから)
移動の時は“選抜メンバー”だけに声がかかる(気づいたら契約切られてる人もいた…ランチタイムが気まずい)
逆にラボメンバーも、良いオファーが来たら急に辞める。
一見ドライだけど、僕はむしろこういう仕組みが合理的だと思っています。
ラボは「残ってもらうための環境づくり」をちゃんとする
働く側も「条件が悪ければ辞めてOK」
実力がある人は給料も待遇も交渉次第
つまり、完全に実力主義の契約社会なんです。
ラボの選び方
ところで一流ラボに入る意味、知ってますか?
これ、めちゃくちゃ大事な話なんです。留学先で気づきましたが研究者の人生って、どのラボに入るかで大体決まります。(と私は思う)
一流ラボに入ると:(幸い私のラボはR01っていう大規模なGrantを複数持つラボ。なので一流と思ってます)
最新の技術や設備が使えて
優秀な人が集まっていて
ネタも沢山あり、新規のGrantの獲得や論文のチャンスも豊富です。
一方で、地方の設備が古いラボに入ると:
機器は型落ちだったり外注(当然トレンドにもついていけない)で予算はカツカツ。
進路やキャリアも狭まるし、最初からその中にいると外の世界がどんな状況なのかを知ることもできない。
これ、努力の量は同じでも成果に大きな差が出ると思うんですよ。
でも日本の医局では、「恩や義理」が優先されて、
「このラボ行きたいけど、医局的にNG」なんて場面がザラにある。てゆうか基本、自分の大学のラボしか行けないです。
これは才能の浪費だし、日本全体でみてもとてももったいないことです。
研究は労働
実は僕、大学院に行かずに直接渡米しました。
研究経験ゼロで来たし、まだまだ教えてもらうことも多いですが、アメリカではちゃんと給料をもらって研究しています。
でも日本では、医者として数年働いた後に大学院に入り、学費を払いながら無給で研究するっていうのが普通です。
研究って、PIの夢を形にする労働なんですよ。本来、給料が支払われるべき仕事のはずですが、無給です。ただ、これは日本とアメリカの研究費の違いなので仕方がないです。額がけた違いなので、どうしようもないですが、日本の研究が先細りなのもなるべくしてなってるよなと思うと少しもやっとします。
恩と義理の正体
医局への恩の出所ってのは考えてみると、大体この2つに分かれると思います:
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医局に入れてくれた恩
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医局で育ててくれた恩
まず「入れてくれた恩」について。
たしかに「入れていただきありがとうございます」って最初は言うけど、現実には医者は売り手市場です。
だって、医者しかできない雑用って山ほどある。安い給料でも働いてくれる若手って、超ありがたい存在。
だから、入局って実は「ありがたがって入れてもらう」ってより、“お互いの利害が一致した結果の選択”だったりします。
「どうしてもこの医局じゃないと!」って思ってる人なんて、実は少数派なのでここに恩を感じる必要は個人的には全くないと思います。
次に「育ててくれた恩」。
僕自身指導していただいたし、後輩の指導も好きでよくやってました。でもこれは冷静に考えると恩じゃないんですよね。恩知らずっぽいですが。
なぜなら指導って最終的には教える側のためでもあるんですよ。教えてて思いましたが、後輩がポンコツだと、患者に迷惑がかかって、その尻ぬぐいをするのは自分。だから教える。冷静に言えば、教育も“業務”の一部なんです。
たとえばバイト先で、先輩が仕事のやり方をいろいろ教えてくれたとします。
そのとき「この恩は一生忘れません!何があってもこのバイト先に骨を埋めます!」って思う人、います?
…いないですよね。でも、医局だとそれが普通に要求されるんです。不思議すぎません?
じゃあ恩と義理って何?
本来なら基本は契約と待遇で人を縛るべきなんですよ。能力あれば待遇上げて、残って。嫌なら出てってもいいよって。
でも、医局って基本的にお金出せないし、休みすらとれるか怪しいです。当直の後も普通に働くし、休日も働くけど、代休なんてないし、普通は5日/年くらいの有休をありがたがって取ります。
こんな状況だから、「恩」とか「義理」とか情で人を縛る。やめるやつは恩知らずだって。で、やめるやつも自分は恩知らずなのかな?っていう罪悪感にさいなまれるんです。
これって、まさに搾取をきれいごとで包み込んでる構造なんですよね。
まあ、ここまで言いましたが私は私の医局嫌いじゃないです。むしろ好きなんですけど全体として、きれいごとで搾取しに来る構造が気持ち悪いし嫌いなんですよね。
僕が帰国後にやりたいこと
まとめですが、アメリカで気づいたこととして
・私は綺麗ごとで人を縛るような搾取構造が嫌い
・能力のある人もない人も同じように扱う“形だけの平等”が嫌い
・これはもともとですが、適当な診療で偉そうにしてる医者も嫌い
だから、帰国後はこういう医局を作りたいと思っています
・医局は「一つのステップ」。メリットがなければ出ていける
・医局の運営は出ていく前提で制度を設計する。つまり属人的な組織から制度に依存する組織への脱皮ですね
・待遇で残りたいと思える環境を用意する
これが実現すれば、医療の質も上がるし、医師の待遇もよくなると思っています。
アメリカ生活もようやく楽しくなってきたけど、
やっぱり日本に帰ってやりたいことが山ほどある。
だから僕は、早く帰国して、「ちょっとだけ未来が明るくなる場所」を作っていきたいと思っています。