シエルが村を去ってから、もうすぐ2ヶ月…

彼とは、子猫にゃ~の頃から7年の付き合いだった。

シエルのいない生活は考えられなかったので、一時はだいぶ落ち込んだ。

何処からか、シエルの声が聴こえたような気がしたり。

似た猫が通った気がして、何度も振り返ったり。

たかが外の猫、そう思われるかもしれないけれど、私にとっては我が子のような存在だった。

いつもシエルを長男と呼んでは、彼のボスっぷりを自慢したりして。

最後に別れの挨拶をしてくれたシエル、今も鮮明に覚えてる。

突然いなくなったけれど、突然ではなかった、それが救いでもあり。

シエルがいた場所、今もシエルの温もりを感じる。

シエルがいない淋しさと、出会えた感謝と、いろんな思いが込み上げてくる。

けれど、私だけではない。

シエルがいなくなった今、あのツンデレケディが、私にベッタリ甘えるようになった。

もう、信じられないくらいの変わり様。

ケディにとって、シエルは最高の相棒、共に村を守ってきた同士だったから、ケディもシエルがいなくなって淋しいのだと、ケディに触れながらも、その気持ちが十分に伝わってくる。

妻のミンカも、体つきが少し小さくなって、やはり何処か淋しそう。

隣のおじさん、ご家族の皆さんも、シエルをシロと呼び、とても可愛がってくれていた。

シエルは、地域のボス猫としても有名だったので、猫ちゃ村を通る人達からも愛されていた。

皆、シエルはずっと村にいてくれると思ってた、当たり前に。

そんな中、先に父親の新太が、後に息子の優真が村に来た、生きる為に。

やがて、シエルは新太に負け、一時ミンカを奪われ、そして新太の息子、優真に負け…

見ていて辛かったけれど、猫の世界に人間は介入できない。

私は、見守るしかなかった。

縄張り争いに負けた猫は、去り際に【血】と【感動】を残していくというけれど、正にシエルがそう。

縄張り争いをして、負けて、村を去る前に、私のところに挨拶に来たシエル。

けれど同時に、ボスとしての潔さがあって、私は今まで味わったことのない感動を覚えた。

どこに行ったのか、今も無事に生きてるのか、いつか帰ってきてくれることを願いつつ…

村の奪い合いをし、敗れた者は去る、ボスとしての生きざま、その命懸けの猫生。

そして、シエルと一緒に過ごした一瞬一瞬の日々も、私は決して忘れない。

シエル&ミンカ&ケディ、3ショット。

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当たり前にあった光景、今は奇跡。

いつの日か、何処かで、再び会える日を、今日も信じてる。