「ふぅ…」

「……すごい。さすが傭兵って感じ」

「そう?」


少し照れくさい。


「うん……なんか、ちょっとホッとしたよ。あんたがいれば、安全っぽいしさ。あたしは軍事会社に登録されてるだけで戦う気とか、これっぽっちもなかったのに……」


なんかうなだれている。


「だっていうのに、あのおっさん。あたしが働かないからって、ムリヤリ連れ出してこんな危険なレリクスにほっぽって……」

エミリアが急に顔を上げる。


「あー、なんかだんだんハラが立ってきた!こんなかよわい女の子を、一人にするなんてひどいと思わない?」


「いや…あの…働いた方がいいと思うけど…」


少し少女の剣幕の凄さにひいてしまう。そういえばアイツもこんなんだったな…


「ぶー!なによ!あんたもおっさんの味方?いいよいいよ。結局みんなそうなんだから。あたしの言うことなんてだれも本気で聞いてくれないんだ」

「……え?」

「とにかく、あんたがいれば無事に帰れるような気もするしおっさんにはあとで文句いいまくってやる」

(……そのおっさんとやらはかわいそうだな)

「SEEDはもう存在しないからレリクスは安全だ、とかいいはってあたしのいうこと信じてくれないしさ…」

「まぁそれは普通だね」

「そりゃあ、今まで発見されていたレリクスはSEED襲来があったときばかりに機能を覚醒させていたよ?でも、全部が全部そうだったかっていうとそういうわけじゃなかったんだよね。一説によると、SEEDの散布する素粒子に反応して起動しているみたい。だけど、同時に磁場の乱れも観測されるからどうもそれだけじゃないと思うのよね。そもそもSEEDは3年前に一掃されたはずなのに、こうしてレリクスは起動してるわけでしょ。レリクス自体が何らかのプログラム管理である以上はトリガーとなるものも、それに準じた……あ。え……ええっとー……」

「詳しいね…」
(むしろ詳しすぎる……)

「あ、いや……こ、このくらい常識でしょ?」


明らかにうろたえたかと思うと両腕を腰にあて、今度は取り繕うように。


「常識!常識だって!傭兵だったら誰だってこれぐらい知ってて当然なの!いい、今の説明は忘れて。どうせあたしが何言ったって誰も信じてくれないんだし!」

「エミリア…」


その言い方はツンケンしていたがどこか寂しさがあった。
「……誰?」


少女が振り向く。


「ああ、そっか。閉じ込められたのあたしだけじゃないんだね。何が起きたかわかる」

「残念ながらわからないな」

「……だよね。あたしも、いきなりでそれどころじゃなかったし。気がついたら、みんなは逃げ出してるし。……はぁどうしたらいいんだろ」


私は奥をみた。
幸いなことにこのエリアに閉じ込められたわけではないようだ。


「……って、まさか奥に進む気?」

「あぁ」

「無理無理!やだやだ!危ないって!ここ、未開のレリクスなんだよ?すっごいあぶないんだよ?」

「だからと言って待ってても助かるわけでもない」


私はイクザムを抜いてレリクスの奥へと進む。


「あっ……ちょっ、ちょっと待って!一人で行っちゃうの!?」

「ん?」

「行くから!あたしもいっしょに行く!」

そういって少女がついてくる。


「あ、そういえば名前、聞いてないんだけど……」

「緋呂だ」

「……ふ、ふーん。あんた、そういう名前なんだ。あ、あたしはエミリア。エミリア・パーシバル。えっと、その……これからしばらくは一緒だから……よ、よろしくね。」


ふと、笑顔がこぼれてしまう。


「あぁ…よろしく」


そうして2人で扉をくぐると。

「あぁー、やっぱり原生生物がわんさかいる。見逃してくれたり、しないよねぇ……」

「……だろうな」

「……あの、えっと、えっとね。直前でこんなこと言うのはなんだけど……」

「ん?」

「あたし、武器は持ってても実は戦闘経験なんてほとんどないの」

「はい?」


思わず訳の分からない返しをしてまう。


「……だから、がんばって!あたしは応援してあげるから!」

「はいはい……」


目の前には原生生物…エビルシャーク。


(数は多くないから…)


走り出す。


「えっ…」

「はぁぁぁぁ!」


エビルシャークを次々仕留めていく。


「うぉぉぉぉりゃあ!」


最後の一匹もいとも簡単に倒してしまう。





…続く
私の名前は緋呂。


男性のヒューマンだ。


フリーの傭兵をしている。


3年前のSEED襲来を乗り切ったので腕はそこそこだと思っている。


しかし、SEEDによる傷跡はいまだにグラールを苦しめ、資源枯渇が問題になっている。


フリーの傭兵ではなかなか仕事にもありつけず厳しい毎日だ。


そんな中久しぶりに大手のスポンサーがついている仕事があるという情報を聞いて私は最近見つかったばかりの海底レリクスへと向かった。


かなりの数の傭兵だ。


どうやら大手のスポンサーというのは嘘ではないようだ。


私が待っているとキャストの男性が話しかけてきた。


「ほぉ…所属なしというとこをみるとフリーか…大したものだな」

「あなたは?」

「私の名はバスク」

「俺は緋呂。よろしく」

「あぁ。よろしくな」

「帰ろ!帰ろうって!」

「ん?」


みると1人の少女が何か叫んでいる。

「彼女も傭兵か?腕利きには到底見えないが…」

「ここレリクスでしょ?本当にヤバいんだって!」

「ここは安全だから大丈夫だ!今からお前用の仕事をもらってきてやる!ちったぁ働きやがれ!いいか!待ってろよ!」

「あ…」


言い合いをしていた男の方はそう言ってどこかに言ってしまった。


「やっぱ…やだ…うっ!」


少女がその場にうずくまった。


(大丈夫か?)


私は少女に近づいていこうとした。
その時!


ドォォォォン


急に地面が揺れた。


「なっ!」

「たっ大変だ!閉じ込められるぞ!」


声をした方を見ると扉がしまっていっていた。


「ちっ!」


少女はまだうずくまっている。


「えぇい!うっ…」


体に力が入らない。


(なっ!なんだ…力が…)


その間に少女は頭痛が治ったのか扉へ走っていく。
しかし、無情にも扉は閉まってしまった。


「出して、出してよー!」


少女は扉を叩いている。


「このっ、このやろっ!開きなさいよー!」

ドンドン

「開けって!開きなさーい!もう!ほんと、いい加減にしてよ!」


到底女性が使う言葉ではない。


(ん?)


気付けば体の自由がきく。


(なんだったんだ…一体)


立ち上がる。


(まっとりあえず…)


私は少女に話しかけた。





続く…