「ウィステリア荘」
事件の表面だけみれば大した事件ではない。
でもホームズの推理で掘り下げてみると、内面には小さくない因縁と背景があり、さらに事件を複雑化する要素も加わった複雑な事件でした。
掴み所の難しい事件ですが、ホームズが冷静に
「一歩一歩考えをすすめてゆこう」
といい、事件を丁寧に紐解いてゆく様がカッコ良かったです。
「ボール箱」
事件の始まりから、奇怪なミステリー要素を孕んだ事件かなと思いましたが、全然違いました。
中盤で、読者を含むホームズ以外の人たちが事件をぼやけて見ている中で
「僕にはこんな明らかなことはない。だいたいの荒筋をたどってみよう。」
といって説明してくださるシーンが印象的でした。
「赤い輪」
序盤は部屋の賃貸絡みの、少し気味が悪いくらいの事件で、ワトスンさんからなぜこんな得るもののない事件に深入りするのかと尋ねられ、
「自分の教育になるからね。金も名声も得られるわけではないけど、それでも何とかして解決したいのだ。」
というセリフからホームズの人間性が垣間見えました、胸に響きました。
「ブルース・パディントン設計書」
ホームズの優秀なお兄さんが持ち込んできた、政府を揺るがす性質を秘めた事件。
四つの署名に似たような追跡系の展開。前作で目に留めた
「ほかのあらゆる可能性がすべてだめだとなったら、いかにありそうもないことでも、残ったものが真実だ」
という原理に基づいての捜査、行き詰ってもこうやって活路を見出すというのは、人生のヒントにもなりそうです。
「瀕死の探偵」
ホームズの見事な変装術と茶目っ気に魅了、ページ数も短編の短編といった具合で少なくて面白かった。
「フランシス・カーファクス姫の失踪」
名の通り、失踪事件の捜査。最後には緊迫シーンもありました。
中盤のホームズの登場シーンが印象的でした、彼は本当に変装の名人です。
「悪魔の足」
悪魔の足の意味する所はなんだろうと思って読み始めました。
中盤まで掴めない事件でしたが、
「僕らの入手し得た報告の中に一つだけ共通した点がある〜これらの事実がきわめて暗示的なのを認める」
といって真相を明らかにしていく論理展開が鮮やかでした。
「最後の挨拶」
ホームズ引退後の話。引退してもなお、という話でした。
少しニュアンスは違いますが、高い名声が人々を畏怖させるという意味で「死せる孔明、生ける仲達を走らす。」という三国志の古語を思い浮かべました。
あー、時間かかった、仕事より疲れた!(笑)