満開だった桜も散り始め、庭のハナミズキの蕾が膨らんできました。


2年前、結果的に最後の結婚記念となった日近くの日曜日。

突然夫が、結婚記念日のプレゼントとして、うちのシンボルツリーとして、鉢植えのハナミズキを買ってきました。


少し前には子どものことを本心で殺したいと言い、その他にも、積もり積もった日頃の夫の言動で、その頃の私はいつも苛立ち、疲れ切っていました。

そこに相談もなく、勝手にそこそこ大きな鉢植えを買ってくる。

それも、プレゼントという形で。



…一貫性の無い、本当に意味不明な夫の行動に、私はさらに苛立ち、ありがとうも言いませんでした。


それどころか

植物とはいえ、命あるものをどうして相談もなく買ってくるの💢

誰が庭に植え替えて面倒見るの💢

虫だって付くし、枯れ葉だって近所迷惑にならないように、掃除しなきゃいけないんだよ?

子どもの世話で手一杯なのに、私がやるの?

と小言を言った覚えがあります。



挙げ句夫が、植え替えず鉢のままで育てると言い出したので、

台風のときどうするの?

ちゃんと飛ばないように、前もって管理できるわけ?

というか、この先何年も鉢植えで育てられるわけ無いやん💢

とイライラしながら言い返しました。



実際その後台風が来ても、案の定夫は何もせず、私は、「だから言ったじゃん。本当にいい加減にして。買ってきたなら最後まで責任持ってよ!!」
くらいのことを言いました。

結局私は、子どものことで手一杯だったのもあり、鉢植えをそのまま放置していました。





夫が亡くなり四十九日があけた頃。


一応金属でできているものの、百均の頼りないペラペラなスコップで、私は子どもの昼寝中に必死で庭に穴を掘り、ハナミズキを地植えにしました。


幸い枯れることなく育ち、1年前のこのくらいの時期に、白い花がいくつか咲きました。


夫は何色の花が咲くのかも知らずに買ってきていました。

結局、咲いた花を見ず、何色か知らないまま逝ってしまいましたが…



このハナミズキを毎朝見るたび、色々な感情がわき、心が乱れることもあります。


今でも夫に対して、どう接すればよかったのか、答えはわかりません。

最近は、何を思えばいいのかさえわからないときがあります。

心からこの木を愛で、思い出を慈しむことができる時が来るのか、今はわかりません。

それでも確実にまた季節は移ろい、淡々と、月日は過ぎました。