盲従で高まる「アベノリスク」 | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 

罵倒されながらも、ひたすら付き
従う姿に言葉を失う。カナダのG
7サミットで、トランプ米国大統
領が「シンゾー、私が2500万
人のメキシコ人移民をおくれば、
君はすぐ退陣することになる」と
暴言を吐いたと複数の外電が伝え
た。なぜか首相随行の記者からは
一切報じられなかった。米朝首脳
会談を通して、安倍首相は自ら拉
致問題で何ら行動できず、トラン
プ大統領にすがるしかなかったこ
とが改めて分かったが、国際的な
舞台でまるで下僕のように見下さ
れて、何も言えなかったとしたら
恥辱以外何物ではない。そんな情
けない姿をさらけ出した首相の存
在そのものが、リスクでないのか
。もはや安倍首相に外交を語る資
格はなく、メディアは「暴言をた
しなめたのか」と強く首相に問い
ただすべきだろう。


先週末、「御用メディア」の「読
売テレビ」に出演した安倍首相は
、拉致問題解決のため北朝鮮の金
正恩委員長との首脳会談への意気
込みを示したが、平壌放送で「解
決済み」と一蹴されてしまった。
米、中、韓、露のトップは会談を
設定したのに、安倍首相だけ蚊帳
の外におかれているのは、日朝間
の戦後処理に目を向けず「拉致問
題」を政権延命の政治的な手段に
していることを見透かされている
からである。


権謀術策にたけた独裁者である金
委員長を軽くみてはならない。あ
のトランプ大統領でさえ、非核化
交渉で抑え込まれてしまった。金
委員長が、そんなトランプ大統領
にすがるだけの安倍首相の足元の
弱点を見据えていることは間違い
ない。ここにきて北朝鮮の労働新
聞が「森友・加計疑惑」を報じ始
めたのは、「信頼なき安倍政権」
をアピールし交渉を有利に進める
ための揺さぶりであろう。


安倍首相本人が「拉致問題解決」
を掲げ、総裁選3選出馬をほのめ
かしても、内閣支持率はほとんど
上向かない。時事通信の先週末の
世論調査では、支持率が4カ月連
続でダウン、不支持率は増え続け
ている。世論は外交以前に国会で
虚偽答弁を繰り返し有権者を欺く
安倍晋三という政治家の本性を見
破っているのである。まだ3割を
超える支持があるといっても大部
分は「他にいないから」という消
極的な選択からとみられる。


国会が終盤を迎えようというのに
、この国のメディアは米朝会談の
推移と拉致問題一色になりつつあ
るが、米国のメディアは、トラン
プ大統領の中間選挙目当てのでた
らめな内外政策を厳しく報じ始め
た。その中で特にニューヨークタ
イムス紙・レオンハート記者の「
同盟国は楽観を捨てよ」と題した
コラムが目を引いた。トランプ大
統領に西側の同盟を破壊したい意
図があると指摘、共和党の幹部に
それを制止するよう呼びかけてい
た。そして、中間選挙を米国の理
想のための国民投票であると世論
を喚起していた。


国内に目を転じれば、あのジャー
ナリスト、青木理氏さえ「安倍首
相の責任で拉致問題を解決しても
らいたい」と言わしめるほど拉致
問題報道一色になってきた。しか
し、今は「信頼を失った首相によ
る『盲従外交』は真の国益を損ね
かねない」とい冷静な思考こそ重
要である。拉致問題解決を掲げる
だけ何ら有効な策を持たない政権
に対し、メディアが「安倍首相以
外の政治家に解決を託しては」と
いう選択肢も示す時だろう。


        【2018・6・18】