税理士のヒラリーです。
医療法の一部を改正する法律案の概要
平成27年4月3日に医療法の一部を改正する法律案等を第189回国会に提出され、現在審議中である。
本法律案では、地域医療連携推進法人の認定制度を創設させ、医療機関相互間の機能分担及び業務の連携を推進せることを中核に、その他、医療法人の分割制度の明文化、一定規模以上の医療法人については財務諸表の法定監査及び広告が規定された。
1 地域医療連携推進法人制度
地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針を定め医療連携推進業務を行う一般社団法人は、都道府県知事の認定を受けることができる。
(1)都道府県知事の認定
一般社団法人で以下の要件等を満たすものについては、都道府県知事から地域医療連携推進法人の認定を受けることができる。
主な認定要件
①医療連携推進業務を行うことを主たる目的とするものであること
②社員は原則各1個の議決権を有するものであること
③営利を目的とする団体又はその役員と利害関係を有すること等により社員総会の決議に不当な影響を及ぼすおそれがある者を社員及び理事、監事としない旨を定款で定めているものであること
④社員、役員とその他関係者に対し特別の利益を与えないものであること
⑤医療連携推進区域を定款で定めているものであること
⑥地域の関係者を構成員とする評議会を設置し、医療連携推進方針等の重要事項の決定について社員総会及び理事会において意見を述べることができるものとされていること
⑦参加法人が予算、事業計画、定款変更その他重要な事項の決定を行うにあたり予め地域医療連携推進法人に意見を求めなければならないとされていること
(2)参加法人
参加法人は医療連携推進区域において病院等を開設する医療法人等の非営利法人とする。また、医療連携推進区域において、介護事業その他地域包括ケアシステムの構築に資する事業に係る施設又は事業所を開設する法人を参加法人とすることができる。
(3)実施する業務
医療連携推進業務について、医療連携推進方針に沿った連携の推進を図ることを目的として、①医療従事者の研修、②医薬品、医療機器等の供給、③資金貸付等の業務を行う。
2 医療法人制度の見直し
(1)医療法人の経営の透明性確保及びガバナンスの強化
医療法人は、毎会計年度終了後、事業報告書等に加えて、関係事業者との取引の状況に関する報告書などを提出しなければならない。なお、関係事業者とは、理事長の配偶者がその代表であることその他の当該医療法人又はその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者をいう。
(2)社員名簿の備付け
社団たる医療法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。
(3)医療法人の財務諸表に対する法定監査
医療法人のうち一定の基準(事業活動の規模等を勘案して厚生労働省令で定める基準)を満たす医療法人は厚生労働省令に定めるところにより、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。また、上記基準を満たす医療法人は、財務諸表について公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。
(4)医療法人の分割等
医療法人(社会医療法人等を除く)が都道府県知事の認可を受けて実施する分割について規定が整備された。
(5)社会医療法人の認定等に関する事項
①二以上の都道府県において病院等を開設している場合
二以上の都道府県において病院等を開設している場合において、医療の提供が一体的に行われているものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものについては、当該病院等の所在地の都道府県で認定を行うことができるようになった。
②社会医療法人の認定取消について
社会医療法人の認定を取り消された医療法人であって、一定の要件に該当するものは救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施に関する計画を作成し都道府県知事の認定を受けた時は、収益業務を継続して行うことができる。