日常と言葉          古川文彦





宛名のない手紙のなかで



「言葉のみが美しい」と



はぐれた渡り鳥のように呟く



昼より青い夜空の 何処からか



新しい世界がペン先へやってくる



そう思うのは もう よそう



言葉の世界よさようなら



しかし残った数行のあいだには



さむい風が吹き



八月の部屋を零下十度の旅へ



宛名と住所を探しにやる



それから



いつものとおり今日の新聞を読む















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hiraharaのブログ

2010年1月、文芸社より出版。