そのマジシャンは一切のミスをしない。客の前でものを落としたり等持っての他、呼吸の一つ一つすら計算している様に隙の無い語り。秒単位で調整された、寸分の狂いなく行われるマジック。それは最早芸術の類まで到達しているようだった。特に彼が得意としていたのは、アシスタントを真っ二つにする切断マジックだった。ナイフをで箱を突き刺し、片方の箱はガタガタと動き、もう片方の箱からは悲鳴の聞こえる演出。観客が心配になるような演技が味のマジックは、全米で大人気となり、テレビ等でも紹介された。テレビ出演を果たした少し後、彼は『タネ明かし』と称して今までのアシスタントの首を並べ、自らを切断するマジックを披露した。彼は最後までミスをする事は無かった。正に完璧なマジックだ。