事故は偶然の重なりで起きる、その偶然の一つでも無ければ起きないのに何故かそこに引きずられていく。
あの交通事故もそうだった。池の平保養所で開かれた「コンピューターを使用した事例」の社内研究会。二本木工場で何の事例も無いので研究からスケールアップと題して出ることにした。というのも本来これは部下にさせた物だったのだが使い物にならず解析全てやっていて発表させることも出来ないので仕方なく出たもの。
その研究会で高岡工場の女子社員が総務関係の事例を延々と持ち時間無視で続けていた。彼女にしてみれば初めての機会で兎に角最初から最後まで細かく話したかったのだろうが予定は大幅に遅れて終了した。
帰り際に大塚から同僚の神田君を一緒に乗せてやってくれないか、と頼まれ二人で帰途につく。走り出して直ぐ下り坂の右カーブに差し掛かった所で明るく光るライトが見えた瞬間記憶を失った。