失意の底で、
1人で悩み

1人で決断したユリカの心情を想像すると

様々な感情が入り交じり


結局…「ツラかったね」


そんな言葉しか言えない自分が腹立たしく思えた

相手に対する報復など考えたのだが、

そんな男でも、まだ感情は残っているのだろぅか、ユリカにキツく止められた

確かに、相手の社会的地位など全てをぶち壊したとして、
俺やリョウ…そしてユリカの気は晴れるとは思わないし、むしろ虚しいだけかも知れない

ただ、心と身体を傷付けられたユリカを想うと
何事も無かった様に日常を過ごす奴が、どうしても許せなかった



俺とリョウは奴の車の下に
ちょっとタイヤ浮く高さにブロックを積んだ

朝、アクセルを踏んでも進まない車にテンパる事だろぅ

今回は中学生の悪戯程度で許してやるが、
今後ユリカに接触しようモノならば、全ての情報を晒してやる
そう誓いながら、夜中の駐車場で俺とリョウは小さくハイタッチしたのだ。



相手に内緒で産む事に対する罪悪感に似た感情は
ユリカの勝ち気な性格上、どぅしても自分が許せず

悩んだ結果…

相手に伝える事にした


「もちろん、アナタに迷惑はかけません」

その男はまず尋ねた

「本当に俺の子なのか?」と


悪気があろぅが無かろぅが
開口一番その台詞

不倫行為の末の起こしてはイケナイ出来事を
信じたく無い気持ちも判らなくもないが、
相手を思いやる気持ちの薄さに幻滅する発言だ


いつかは妻と正式に離婚して
ユリカと一緒になりたい
その時期が来たら
堂々と2人の子供を産んで欲しい
だから今はまだ産んで欲しくない
とりあえず中絶費用は俺が用意するし、今後のケアもサポートしていく
だから…堕ろしてくれ



「わかった、産んでくれ」

そう言ってくれれば、ユリカはその男が好きなまま別れ
子供も堕ろすつもりだった
愛した男に少しの不安材料を与えたくないし、負担もかけたくないから…

何より、自分が愛したヒト
このヒトを愛した自分が間違ってなかったのだと
これからも生きていける
そぅ信じて



「堕してくれ」
必死に頼み込む男の姿に
夢と希望が脆くも崩れ去った

ノー天気なツラして待ち合わせの病院に着くと
リョウが独りで俺の到着を待っていた

「おぃす、ユリカちゃんはマダ診察中か?」


リョウの態度が明らかに変である


「……今日、中絶だそぅです」




「はぁ?」



「俺も今日メールで知りました」

「……」


しばらくして、ユリカは出てきた


訊きたい事言いたい事…沢山ありすぎて…

「やっぱ堕しちゃいました」

と、今まで泣いていたであろぅ腫らした目で無理に明るく振る舞うユリカに

俺ら2人は、何と言葉をかけて良いのか判らず

何も言えなくなって
ただ、立ちすくんだままチカラなく手を振るのが精一杯であった。