2005/10/05 ブログ "my life as a hippy"より転載。

『目覚めの朝』

もう、大丈夫
少しずつ、記憶を取り戻そう
あの時の事故は君のせいじゃなかったんだ

*

きみはマザーシップにみんなを乗せた
乗りたいと望んだみんなを、一人残らず
マザーシップはきみ自身だったから、みんなを乗せたんだ
少しだけ計画より人数が多かったけど、きみは決断したんだ
みんな連れて行こう、って
みんなで出発しよう、って
きみもそう望んだし、みんなもそう望んでいた
誰ひとり、欠けたら計画は失敗に終わる
みんなその時、その時シップを満たした思いを
信じる選択をしたんだ

**

定員オーバーのまま、きみはシップを操縦した
きみは、きみを操縦したんだ
きみの希望を乗せて、みんなの祈りを乗せて
きみの意志で飛び立ったんだ
そして、事故は起きた
シップが操縦不能になったのだ
みんなのパニックと共に墜落していくきみは、ミッションに忠実に
従わなかったことを激しく後悔した
計画に入っていなかった仲間を乗せたから、罰せられたのだ、と
そして、結局、自分のせいで、みんなを救うことが出来なくなったと
自分を責めた
記憶を封印して、閉じ込めた細胞を麻痺させた
そして長い眠りについた。
もう二度と目覚める日が来ないように、と、神に祈りながら

***

暗闇の中、きみは目覚めた

****

祈りは聞き入れられなかったと知り、きみはまた自分を責めた
自分に足りないものがあるから、祈りが届かなかったのだと
そしてきみは、神に仕える下僕(しもべ)として生きることを決めた
今度こそ、何も間違わないよう
今度こそ、何も失敗しないよう
神の計画に自分で手を加えることのないよう
自分の意志を放棄した
きみは人として生きることを放棄した

*****

今度こそ、永遠の眠りにつけることを祈りながら
きみは何度も何度も最期の時を迎え
何度も何度も失望と共に目覚めて地球に降りた
まだ、完璧じゃない、まだ神の眼鏡に適わない
きみは責め苦と共に目覚め、祈りと共に眠りについた
ある時には生け贄として
ある時には神に与えられたギフトに怯えて拒絶した
ある時には病に倒れ、神を呪い
ある時には神を知るために、自らの肉体を傷つけた
ある時には神に仕えるながら孤独な人生を諦観し、
ある時には神に仕える大義の元に、剣をかざした
ある時には純白の礼服に自分を隠し、信仰を汚す悪魔に銃を向けた

******

再び目覚めたある朝、
      もう一度みんなに会いたい
そう願ってきみは地球に降りて、母の子宮に着地した
そして、今度こそ人として生きることを選択した
きみの最期の地球の時が来た事を悟ったのだ
きみは、神を信じ、愛しながらも、神から離れることを決意した
きみは自分の意志で自由に生きる選択をした
人として生きることを謳歌した時に、初めてきみは
祈りが聞き入れらた事に気がついた
もう地球を卒業するんだね

*******

きみは泣いた
人生がこんなにも楽しいことに、地球がこんなにも
美しいことに気がついた
全ては愛なのだと気がついた
人として生きることに全てがあったのだと気がついた
まだ地球にいたいときみは泣いた
まだ去りたくないときみは泣いた
きみはやっと神の計画のone pieceを取り戻した

********

もう大丈夫
きみはそうつぶやいて、封印した記憶の麻酔を外し、
アンテナを立てて、スイッチを入れた
きみのバイブレーションが変わった
きみが訳もなく忌み嫌って来たエネルギーの正体を理解した
スーパーマンが、生まれたの星の記憶の残ったものに近付くと
衰弱するのと同じ理由だった
封印したカルマのエネルギーがきみを弱らせ、混乱させていた
カルマがきみのミッシングピースだったのだ

*********

恐る恐る封印を解いて、星のかけらを眺めながら、きみは知った
マザーシップが墜落したのは、定員オーバーのためではなかった

隕石衝突のためのシステム破壊だった
全ては神の計画した通りの出来ごとだった
きみを地球に送るための、みんなを地球に送るための
そして、地球を再び覚醒させるという、プロジェクトのone pieceだった

人として生きながら愛を学び、目覚めていくこと。
愛することを恐れずに
愛されることに臆病になることなく
愛を実行すること
これがきみの地球最期のミッション

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もう大丈夫。

鳩を遣わせたのは、僕。光を見せたのも僕。
きみは護られていると気づいて欲しかった。
片方もがれた僕の翼を、拾ってくれたのはきみだから。

怖がらないで。
もう大丈夫。