ここ数日、酷い小説や悲しいホラーを見すぎて感化されていたのか
気が落ち込んでいた。

なぜか鬱状態に入った私はこの間の夫婦喧嘩や
過去の不幸を全て思い出してしまっていた。

そのせいで表向きには見せないが私はより深く落ち込み、
もはやみんな私のことなど気にもとめず
私は誰からも愛されてなどいないと思い込んだ。
いや、事実なのかもしれない。
私に声をかけたとしても社交辞令で人事なんじゃないだろうか。


彼は世間では気が利く方の部類だが
私のことには少し鈍感で私の気持ちにはいつものように気付いていなかった。
もちろん私が気付かれない様にしているのも確かだった。

しかし、私は彼の愛情表現にはときより淋しさを覚える。

私は彼に『はやくも4月の半ばだね。』と皮肉に言い放った。

だが彼はそうだと返すだけで私の言葉の意味などわかっていない様子だった。

いつもはストレートに話す私だがストレートに言えば言うほど拒絶された時にこたえるので
遠回しに言ってみたのだ。

しかし、どうやら遠回し過ぎたらしい。


私は誰かに抱きしめて欲しかった。
誰かの愛情を確認したかったのだ。

彼に冷えた手足を温めてほしかった。
なぜなら私はそれがすごく愛情を感じるからだ。

しかしそれももう先月の話になる。


私は誰からの自分への形ある愛情を受けられず涙を流さずにはいられなかった。

甘ったれた子供が夜中に一人で渋々ベットに行く時の孤独感に似たものかもしれない。


背を向けイビキをかいて寝る彼の背中にしがみついて眠りについた。

彼は目を覚まさず、振り向いてくれることはないまま朝になった。


朝になり、出掛けなければならない支度をする私はまた何食わぬ顔で一日を過ごす。


私は恵まれていると思う。

しかし私は時より寂しくなる。
これが鬱病というものなのかはわからない。
何年も前に鬱病だと診断を受けてから病院には行っていないし
私は普段、明るい性格でとおっている。


恵まれているはずなのに気の持ち様ではないかとお思いになるだろうが
まず気が持てないのだ。
気が無いも等しい。
ネガティブ思考とはよく言ったもので
脳がそう判断するのでそう簡単には脳の働きを変えられるわけはない。


気持ちに整理がつかないまま
このことに関して考えなくなっても
また考えてしまう時が来るだろう。

私にはきっと愛情というものの充電能力がないのだ。

だから毎日電力不足になる。

彼には1番迷惑だろう。

何もしていない彼を責める訳にはいかないが
何かをしてほしいこともある。


彼は家事をこなし、ただ静かに私の横にいてくれる。



そうだ私は恵まれているんだ。明るくなくてはいけないのだ。