おばあちゃんのほおずき

おばあちゃんのほおずき

二年前に他界したおばあちゃん。
たくさんの愛情をありがとう。今だから言える素直な気持ちをここに残しておこうと思います。

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たった一度だけおばあちゃんに眉を整えて欲しいと言われた。

決して派手ではないし、
化粧もほとんどしない人だったけど、
とても身だしなみには気をつける人だった。

おばあちゃんの白髪を一度も見たことない程。

仕事では幅広い年齢のお客さんを相手にしていたし、
カウンターのある少し高めの化粧品を買いに来る人は美に対してとてもこだわりのある人が多かったから

仕事でするメイクに比べるとおばあちゃんの眉を整えるくらいとても簡単なことだった。

なのに、私はそんなことさえ面倒に思えて
適当にカットするだけ。

もっとして欲しそうなおばあちゃんを見て見ぬふり。

なんで、仕事とはいえ初対面のおばあちゃんにはあんなにも笑顔でたくさん会話して綺麗に丁寧にメイクしてるのに
一番してあげなくてはならない人にできないんだろう。

あの日のおばあちゃんが手鏡を持って整えた眉を見ている後ろ姿。

一生忘れない。

この頃の自分には後悔と怒りしか残ってない。