「現場」と呼ばれるものから身を引く「在宅」と化したのが2008年ごろ。
「これからは『アイドルにちょっと詳しい人』程度で留めよう」と。
以来、AKB48のブレイクに乗って柏木由紀推しを公言しつつ、現場には行かない。
ももクロのブレイクに乗って卒業論文の執筆中のBGMにしつつ、現場には行かない。
SUPER☆GiRLSやら乃木坂46やらの曲を少しずつ聴くようになりつつ、現場には行かない。
基本的な接触方法は「YouTube巡り」と「レンタルCD」。
たまに「CDを1枚買って総選挙やイベントに参加してみる」程度。
思春期になけなしの小遣いを注ぎ込みすぎた反動もあったのでしょうか笑
次第に「なんだ、アイドルってこの程度の接触で楽しめるじゃん」と気付きを得て、
僕の「アイドルにちょっと詳しい人」程度の「在宅」スタイルは確立されていきました。
そんなアイドルへの薄い接触を続けていたある日、
HEY!HEY!HEY!で48Gが椅子取りゲームをやっているのをたまたま観ていて、

「なんかHKT48に面白い奴がいるぞ」と思いまして。
当時、48Gの中でもHKT48だけはどうしても幼いイメージが拭えず、
メジャーデビューしてからもどうにも触手が伸びていなかったのですが、
「博多も面白いかもな」
「ちょっと掘ってみるか」
といつものような浅い興味が湧いてきて、
そこからなんとなく始まったいつものYouTube動画巡り。
まさかそこで金槌で頭をぶん殴られたような衝撃が走ろうとは。
0:40~の両手を合わせて波打たせる振り。
後列一番右の子の動きに思わず目を奪われました。
「なんだこの手の動き…柔らかすぎないか…」
自分が器械体操をやっていたこともあったのかなかったのか。
その子の手先や足先まで神経が行き届いたダンスにすっかり惹かれてしまい、
気が付いたらその箇所だけ見ては戻し、何度も何度もリピートしてしまっていて。
「この子、なんていう子なんだろう…」

「穴井千尋ちゃんっていうのか…」
「クラシックバレエをやっていたのか…そしてキャプテンなんだな…」
「一体どんな子なんだろう…ダンスが上手いキャプテンということはしっかり者なのかな…」

「『ポンコツと呼ばれている』…?キャプテンなのに…?」

「三輪車漕げてないやん…」

「電動ドライバーで手が回ってる…」

「上手くツッコミできなくて泣いてる…」
踊る姿を見て「この子のパフォーマンスすごい…」と感心させられたかと思えば、
バラエティ番組での挙動に「またやらかしてる…」と呆れながらも気になってしまう。
目を引くパフォーマンスにポンコツというギャップ。
この子のことを調べる手はいつの間にか止まらなくなっていました。
「なんだこの子…可愛いぞ………」
しかし、僕が当時住んでいたのは関西。彼女の活動拠点は福岡。
関西にいながらにして彼女の活躍を見ることができるのは、
せいぜい新曲リリースのタイミングで歌番組に出演する程度のもの。
「バラエティ番組は関東ローカルばっかり…」
「劇場は福岡、ツアー回ってるのも九州7県だし…」
長年かけて確立した最強の「在宅」スタイルに生じた綻び。
どうしたらいいものか…
「ん…?」
「GWにアリーナツアーと握手会で大阪に来るのか…?」
「あのダンスを生で見て、握手会で感想を伝えることができる…?」
そんな綻びから漏れた一筋の光。
こうなると選択肢は一つしかありません。
「とりあえずチケットとCD買うか…」
2014/05/02 HKT48アリーナツアー~可愛い子にはもっと旅をさせよ~@大阪城ホール

「大阪城ホール最上段からでも綺麗な踊りで一発で見分けられる…すごい…」
2014/05/05 HKT48 3rdシングル『桜、みんなで食べた』個別握手会@インテックス大阪

「愛犬・タバサの話したらめっちゃ食いついてくる…可愛い…」
こうして、重い腰を上げて6年ぶりの"現場復帰"を果たした僕は、
翌月の総選挙で「何とかランクインさせてあげたい」と初めて複数票を投じ、
関西から行くには遠くてハードルが高かったはずの劇場にも複数回通うリピーターに。
「『アイドルにちょっと詳しい人』程度の接触で十分楽しめる」
そんな「在宅」で満足していた彼は一体どこへ行ってしまったんでしょうかね。

僕に「現場」の楽しさを改めて教えてくれたスーパーアイドル。
ここまで「どうにかして現場まで足を運びたい」と思わされるアイドルは
ハロプロに倒錯していた時代を含めても、彼女が唯一だったように思います。
なので、僕にとっての穴井千尋というアイドルは、
「現場」への思いを頑なに閉ざす「在宅」精神をこじ開けた黒船みたいな存在。
だからこそ、彼女が卒業する時は「現場」で見送りたいという思いが強くて。

2016年6月8日
穴井千尋 卒業発表
7月いっぱいで卒業、8月から留学に出発するとのこと。
芸能活動と学業との両立に悩んでいたのは、よく知られていた話。
個人的には「20歳の生誕祭で卒業発表→3月末に卒業」を覚悟していたぐらいなので、
学業優先での卒業発表自体には「とうとう来てしまったか」と特段の驚きはありませんでした。
が、7月は見事なまでの仕事まみれ状態。
(何も7月に限った話でもないのですが…)
残された活動は数回の劇場公演と握手会と卒業コンサート。
のちに発表された卒業公演は平日。卒業コンサートも平日。
握手会はかろうじて土日開催でも、休みをもらえるかどうかは神頼み。
再販で握手券を確保できたと思えば、その日にピンポイントで仕事が入る始末。
「無理かもしれない」
「というか、無理だ…」
と、さすがに「在宅」で味気なく見送る覚悟を固めたものですが…

数ヶ月ぶりにもらえた2連休がラスト握手の日に重なるミラクル。
「タンスのゲン」で見つけたこと、綺麗なダンスが本当に好きだったこと、
応援できて楽しかったこと、おかげでいろんな人たちに会えたことへの感謝、
大学で学んだことは財産になるから、いろんなことを吸収して頑張ってほしい…などなど、
なんとか本人に直接言いたかったことは全て伝えられたかな。
いやぁ…念ずれば奇跡って起きるものですね…
>私はアイドルになりたくて入ったわけではなく、ステージの上が純粋に好きで、キラキラした世界に凄く憧れてHKTに入りました。
>劇場公演から始まって、活動が始まってから最初は凄く辛い時もたくさんあって、正直「あーもうヤだな」と思うこともたくさんあって。
>自分がどうにかしたいと思っても自分に自信ないし、力もないしっていう時もあったけど、やっぱり公演が始まって、幕が開いた時にほんとにキラキラした景色を見て、ファンの皆さんの応援をこうして間近で直接聴くと、「あー、ステージの上ってこんなに夢とか希望も詰まってて、たくさんの人の笑顔が見れて、ほんとに公演っていいな」って思いました。
>たくさんの方と劇場公演を通して出会うことができたし、私に唯一自信があったのはパフォーマンス、ダンスだったので、それを「ちーちゃんのパフォーマンスいいね」って言って、そこから好きになってくれる方もいて、「あー、やっぱり劇場公演だな」って思いました。
>普通の女の子だった私をファンの皆さんは見つけてくれて、私をここまでアイドルにしてくれて、本当に私は凄く嬉しいです。
(穴井千尋卒業公演 コメント一部抜粋)
>ファンの皆さんへ…
>皆さん私を応援した時間は楽しかったですか?
>幸せでしたか?思い出はたくさんできたかな?
>穴井千尋は皆さんにとって最高のアイドルだったかな?
>全ての活動が終了した今、こんなことを考えています。
(7月30日 穴井千尋Google+より引用)




いやー、楽しかったな。
幸せだったし、思い出もたくさんできた。
あの日、この子に目を付けて深掘りした僕の目に間違いはなかったし、
改めて振り返っても、やっぱり最後まで穴井千尋は最高のアイドルでした。
>アイドルって最高だな。
>最後の最後まで私の自慢のファンのみんなでいてくれてありがとう。
>誰よりも幸せになるから
>みんなも幸せになってね。約束。
(7月30日 穴井千尋Google+より引用)

あなたの今後の人生に幸多からんことを願って。行ってらっしゃい。

















