賞味期限つき、料亭の恋。 -2ページ目

何を聞いても。何を見ても。

かなわぬ思い。


この恋がかなわぬ恋だということは、最初からわかっていたの。


何を聞いても何を見ても、私は彼を思い出すから、彼がいなくなっても大丈夫なのかもしれない。


彼は時間を気にして帰るし。


彼の携帯の待ち受け画面には、可愛い娘。



それでも彼といると、嘘でも脚色でもなく、周りの景色がキレイに見える。


店の中に彼がいたら、楽しく仕事ができる。




「生まれ変わったら、絶対、私を選んでね。」



昔、私が言った言葉。


今はこのままで。


そばにいるから。


私は愛人?


この言葉には抵抗あるけど、とても色っぽい言葉だとも思う。


私には似合わない。


まだ、恋人、でいいかな?


永遠にかなわない想いを抱えて。



まだもう少し、そばにいさせてね。

教えること。

;;;;;;;


今、うちの店は新人ラッシュ


私に教えてくれたベテランの人が辞めてしまったの。と、ゆーことは私がその新人たちに教えないといけな


いんだけど。


改めて、いつもやっている仕事を人に教えるのって難しい。


しかも一人を除いて、年上の人ばっかり。


彼にいいとこ見せようとして、いつも失敗するから、今回はそんなこと考えずにがんばろ。



あっという間に終了。

あの時は、ちょっと本当にショックだったわ。


彼がもうすでに結婚していると知ったときは。


それを知ることになったのは同じホールの女子高生のおかげなの。


彼女もまた彼のことを憧れていて。


「料理長、かっこいいよね~」


女子高生「うん!あたしも憧れてる♪彼氏いるんだけど、料理長は別で好きだな~」


「料理すごいし、話したらおもしろいしね」


女子高生「やっぱりあれくらいの人だと結婚してて当然だよね~」


「・・・へ~結婚してるんだ」


女子高生「うん、娘さん携帯の待ち受けになってるらしいよ~」



やっぱり・・・と思った反面、落ちない男がいたことが悔しかったわ。


けど、そこは若いから立ち直りも早く、彼は恋愛対象から憧れの人となった。

若さゆえ・・・?

私は二年前、そう18歳の時だったから。私に落とせない男はいないと思ってたの。


彼に恋してしまった私は、色んな方法で、彼の気をひこうと必死になってた。


まかないをもらいに調理場へ行く時、少しでも彼の側に行き、話しをしたり。


偶然、カバンにお菓子が入ってた事にして、二人っきりになりたくて帰りに渡したり。(この時チョコが嫌いな


ことが発覚)


今考えると、私かなり可愛いことをしていたんだわ。


けど心の中では、絶対落とせると思ってたんだから。


すごいね。若いって。

ホールの仕事。

私がやっているホールの仕事はとても単純な仕事で


・料理の注文を聞いて、調理場に通す。


・できあがった料理をお客様のもとに運ぶ。


・飲み物を聞いて、作って、持って行く。


・お客様が帰られた後の片付け。


ぐらいなもので、誰にでもできるものだった。


けど二年前の私にしたら、簡単なことが簡単ではなかった。


グラスは割るわ、灰皿落とすわ、注文間違えるわ(今もあまり変わってないけど・・・)とんでもなかった。


けどこれだけは胸を張って言える。


料理だけは落としたことがないの。

二年目の記念。

突然ですが、彼と私は付き合いだして二年目。


というわけで先日、Star Jewelryでブレスレットを買ってもらった。


ジルコニアがころんとついてて可愛いの。


ブレスレット

可愛いでしょ?けどもっと可愛いのは、私がお礼を言った時、彼が見せる笑顔なの。


そのためだけに私はプレゼントをもらっているようなもの。


本当はプレゼントなんかいらないの。

まず出会いから・・・。

私と彼が出会ったのは私があの料亭でアルバイトを始めた日、そう二年前の二月二十七日


懐かしいわ。


まだ緊張した面持ちの私に、「まぁ、がんばって」と声をかけてくれた。


彼は料理長。料理の腕はもちろんすごくて、作る料理は繊細でかつ、どこか激しさがある、そんなものだっ


たわ。


まだ彼のことを何も知らなくて、けど惹かれていって。


そんな恋の始まりだった。