★☆★ 私の海 ★☆★ ほぼ・ノンフィクション・小説
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※※※ ちまちま火責め攻撃 ※※※

 次女が、二階で叫んでいる。


 「おかあさーん!お風呂お湯が出らんよーーーーーーーー!!」
 「あいつ、灯油止めやがった!!」


 すると、母が


 「子供達の前で、めったな事言っちゃダメやろが!! 業者に電話しなさい。灯油の入れ忘れじゃないとね!」 


 私は、母から叱られた。


 家族がくつろぐリビングから洗濯物を見たくない。と、いう、理由で、我家の風呂は二階にある。つまり、洗濯物を二階に干すために、風呂も洗面所も二階に設置した。展望風呂からの景色は、山が見えてリラックスできる。
 この風呂は、追い炊きができない風呂だ。灯油式のボイラーで、お湯を沸かしていた。
 
 私はすぐに業者に電話をした。
 帰って来た言葉は、「社長が、自宅に灯油はいれないでくれといわれました。」


 母にそう告げると、母は愕然としていた。


 この12月の寒い日に、お風呂に入れないようにされた。


 それも、何の前触れも無く。


 私だけなら、わかる。
 だが、子供達がこの家には住んでいるのだ。


 ガスも、新聞も止められた。
 
ヒゲは、人間の血が一滴も残っていない妖怪に完全に成り下がってしまった。
あいつは、人間じゃない!!




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※※※ 悲しい出来事 -2- ※※※

 長女がここ2、3日どうも様子がおかしい。部屋に閉じこもりがちなのだ。
 訳をきいても、話そうとはしない。

 そんな時、ヒゲから電話があった。
 
 「ばあさんは、まーだ、おるとか?早く出ていかんか!子供達に、飯食わせよるとか?餓死しとらんやろうね!」


 私は黙って電話を切った。
 『ひょっとして・・・』


 「みーちゃーん、ちょっと来てー」


 私は、部屋にいる長女を呼んだ。


 「なん?」
 「みーちゃん、おとうさんから電話があったんじゃない?」
 「・・・」
 「何ば言いよっと?馬鹿ヒゲは。」
 「・・・」
 「出たくなかったら、出なくていいからね!」


 長女は、涙をこぼした。
 私の感は的中していた。
 そして、長女は、ポツリと言った。


 「おとうさんが、ばあちゃんとおかあさんの悪口を言うと。」
 「おとうさんは、馬鹿になっとるったい。妖怪になったと。もう、電話に出なくていいからね。シカトしときい。大丈夫やけん。あんた達は、おかあさんが守るけんね。みーちゃん、大丈夫よ!わかった?」


 長女は静かにうなずいた。

 どこまで苦しめたら気がすむのだ!
 子供達の笑顔をやっと取り戻したのに・・・
 Xデイを早めなければならないようだ。




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※※※ 悲しい出来事 -1- ※※※

 次男が電話をかけてきた。


 「おかあさん、明日帰って来るけん。」
 「そうね。飛行機で帰って来ると?」
 「うん。」
 「じゃ、飛行場まで迎えに行くね。」
 「あー、おとうさんが来るっていってたから、いいけん。」
 「おとうさん、今、家にいないとよ。まー君には、色々話してなかったけど、おとうさんと、バトル中なんよ。だから、今は、あっち行き、こっち行き、できんとよ。」
 「おとうさんが、ばあちゃんとこに来いち言うたバイ。」
 「ばあちゃんのところへ行ったら、家に入れんよ。おかあさんが迎えに行くから、こっちに来て。」
 「おとうさんが、ばあちゃんとこに来ないかんて、言うたもん。」
 「じゃ、家に入れんよ。それでいいとね?」
 「うん。わかった。」
 「おかあさん、迎えに行くから、こっちにおいで。」
 「ばあちゃんとこに行くって、言ったけん。」
 「そうね。じゃ、今回はばあちゃんとこに、行きなさい。」
 「うん。」


 そう言って、電話が切れた。


 次男には、“天下を取って来い”と送り出している。武道に専念して欲しかったので、要らぬ心配をかけたくなかった。だから、その後の経過を話していない。


 ヒゲは、次男だけは手放したくなかったのだろう。何をどう話したのかはわからないが、あれほどギンバエに激怒していた次男が、ヒゲの方に行くと言った。悲しかった。これが、血というものだろうか。あの子を育てていて、幾度と無くぶつかった血という壁。今、またここでこの壁にぶつかろうとは。


 デスクの上に、ヒゲには知られたくない資料、整理中の資料が、山ほどあった。心を鬼にしなくてはならない現状を恨んだ。



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※※※ クリスマスプレゼント -2- ※※※

 デパートへ着くと、各自お目当てのお店へGo!
 私は、お歳暮コーナーへ。
 お世話になった方々への贈り物を探しにいった。


 私は、メグと、チヒロと、ユリに電話をした。
 
 「ねーねーねー。ステーキと、カニどっちがいい?お世話になったんで、プレゼントしたいんだけど。」
 「そんな、気をつかわんでもいいよ。」
 「たまには、気も金も使わなきゃ。大丈夫、会社払いだから。」


 私は、同じセリフを3回言って、似たようなセリフが3回返ってきた。結論、メグがステーキ。チヒロとユリがカニ。に、決定!デパートから、送ってもらった。


 会社の前の奥さんには、ピアス。隣には、おチビちゃんの服とお菓子に決めた。
 他にお世話になった方々にちょっとリッチなお歳暮を贈った。
 息子もDVDデッキと、羽毛布団を送ってやった。
 次男には、ジャケットを、母には、バッグを買った。


 ステーキ、カニ、フグ、しゃぶしゃぶは、自宅に配送してもらった。今年の暮れ、正月は、リッチなディナーのオンパレードだ。
 他に、梅、海苔、スープ、コーヒー、日本酒、焼酎、米、etc.etc.

 送り先などを記入したりしていると、時間が経つのは早い。午前中はあっという間だった。


 その間、まだ、娘達のお買い物は全く決まっていない。


 しかたなく、軽いランチをすませ、地下の食料品売り場で、食料調達を先にした。
 日持ちのするものや、乾物、缶詰、冷凍食品を主流に、ありとあらゆる食材をカート3台にてんこ盛り。生ものだけ、お持ち帰りにした。


 「さ、姫達のお買い物に、付き合いましょうか。時間いっぱいあったのに、何でまだ決まってないの?」
 「お店の人が寄ってくるから、見辛いもん。」
 「気に入ったものを、片っ端から試着すればいいやん。」
 「だってー。」


 娘達は、一人でのお買い物にはまだ慣れてないのか、どうも気おくれ気味。


 「じゃ、みーちゃんから行こうか。早く決まりそうだから。」
 「私は、だいたい決まっているから、あっちゃんが先でいいよ。」
 「じゃ、あっちゃんが買いたいって思ったのはどれ?連れてって。」


 お店に入り、娘が気に入ったものを手にとって見ていると、すぐに店員が近寄ってきた。


 「この、インナーと、パンツに合うジャケットはどれがいい?」
 
 私がお店の人に聞くと、いくつか、出してきてくれた。


 「あっちゃん、着てごらん。」


 娘が試着している間に、別のパターンの服をいくつか持っていった。


 「はい、あっちゃん、ファッションショーだよ。出て着てごらん。」
 「はい、次。」
 「もう一つのやつ、着てみて。」
 「インナーだけ変えてみて。」
 「パンツちょっと大きいね。ワンサイズ小さいのはあります?」
 「あー、それ、いいんじゃない?似合ってる、似合ってる。」
 「おー!超かっこ良くね?」

 店員さんと、3人で、ああでもない、こうでもないで、あれは?これは?で、やっと、2パターンの服をチョイス。


 娘は、にっこり!


 「あんなに、いっぱい着て、お店の人に悪かったね。」
 「見ただけじゃ、わからないでしょ。着てみないとわからないのよ。お店の人だって、気に入って買ってもらった方が嬉しいと思うよ。色んなの出してきてくれたでしょ。それに、あの人たちは、買う客と、見るだけの客はすぐにわかるはずよ。お店の人に相談した方が早く決まる。まー、中には、センス悪い子とか、こっちが探している物を理解できていない子とかいるけどね。はい、次は、バッグと靴だね。」


 私のアレ履け、コレ履け、アレ持て、コレ持てで、あっちゃんのお買い物は終了した。
 
 長女は、あらかじめ決まっていて、3択か、2択選びだったので、早く決まった。自分専用の薄型テレビと、財布、スニーカー、服を買った。


 ビデオデッキが壊れていたので、DVDデッキと、デジカメは買ったが、結局、私のものといえば、下着とバッグを買っただけだった。


 一日で100万円のデパート限定お買い物ツアーは、終了した。
 100万円の買い物といえば、宝石か、毛皮のコートでも買えば、一発で終わるんだけど、それをしないのは、主婦だからでしょうか?

 お買い物をしている時は楽しかったが、やはり、虚しさだけが残った。


 請求書は、翌月の10日前後に送られるだろう。
 使った事がわかった時点で、カードはストップするはずだ。
 それまでに、3回、ちょっとリッチな食料調達ツアーをした。


 100万円達成お買い物は、1回払い。後の3回は、3回払いにした。3回まで金利手数料がかからない。そこまで、考えなくてもいいんだろうけど・・・



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※※※ クリスマスプレゼント -1- ※※※

 朝から、私は娘達と福岡天神に向かった。


 あちこちから、クリスマスソングが流れ、クリスマスの飾りやイルミネーションで、街はキラキラと輝いていた。
 買い物袋をいくつも提げた人々が行き交い、家族連れや、カップルであふれかえった街中を、私は、少し早足で歩いていた。


 「おかあさん。待ってよー。」
 「おかあさん。なんでそんなに急いでるの?」
 「買うものがいっぱいあって、忙しいのよ。」
 「どこに行くの?」
 「デパート。」
 「なんでー?」
 「私、ソラリアとか、ビブレがいいなあ。」
 「今日は、デパート限定お買い物ツアーなんです。」


 娘達は少々ご不満のご様子。


 昨晩探偵君と話していて、思い出したのです。
 ヒゲがまだ出て行く前に、「おまえ、カード使うなよ!」と言った言葉。
 ヒゲは、自分が家計を管理すると言って、銀行の通帳を持っていった。それは、中学校の授業料、電気料金、水道料金、私名義のクレジットカードの料金が自動引き落としになっている通帳だった。


 「カードを使うな」って、私名義のカードを使おうが、使うまいが、通帳に残金なければ、私に請求がくるのに・・・『何言っているんだ?』と、その時は思った。


 だが・・・


 カード・・・


 そう!


 デパートの外商カードがあったんです!


 会社が景気の良い時は、頻繁に使っていたカードでした。
 ここ6、7年、全く使っていなかったので、すっかり、忘れておりました。
 請求書は、会社に郵送されます。もちろん、会社払いです。デパートとは、仕事でお世話になっています。払わないわけには、いきません。


 「おかあさん、デパートで何買うの?」
 「ちょっと早めのクリスマスプレゼント。」
 「エー?! 買ってくれるの?」
 「そうよー。今年のクリスマスは、最高よー!たぶん、こんなクリスマスは、今年が最初で、最後よ。思いっきり、お買い物していいのよ。」
 「おかあさん、大丈夫なの?」
 「外商カード使うから、大丈夫!会社払いよ!!」
 「ほんとに?大丈夫?」
 「お父さんが怒るよ!」
 「もう、イヤダ!恐いよ!」
 「大丈夫!ヒゲは、ギンバエにお金使っているから、いいの!生活費もよこさないから、いいの!何も言えないはずよ!!」
 「うん・・・」
 「デパート全部買うわけじゃないんだから、心配しないの!」
 「おかあさん、いくらまで使っていいの?」
 「10万円。」
 「エーーーーーーーーーーーーーー?!」
 「じゅうまんえーーーーーん?」
 「何。あんた達、声揃えて。声でかいよ!」
 「一人5万円も使っていいのー?!!」
 「一人10万円ずつよ。」
 「はあーーーーーーーーーっ?!!」
 
 デパートの外商まわしで、バンバン買っていた頃は、この子達はまだ小さかったので、覚えていない。景気が悪くなるに連れて、年々服も食材もレベルが下がっていった。
 もともと、私は、ブランド志向ではないし、物欲もないので、買い物に行っても、自分のものより、子供や旦那のものばかり買っていた。私の服など、ここ数年買っていない。シンプルなデザインのものが多いので、着まわししたり、組み合わせでどうにかなる。ファッションには敏感だが、その時のファッションを少し取り入れていれば、古臭くは見えないし、自分のファッションができる。伊達に長くは生きていない。今のファッションも、昔のファッションの応用みたいなものだ。ファッションは10年周期と言われていたが、何でもアリの昨今、よっぽどヘンテコリンな服を着ない限り、何でもOKなのではないか?と、私は思うのだが?イザと言う時は、和服がある。和服は、母が着道楽だったので、ずいぶん作ってもらっている。自分で着れるので、子供達の入学式や、卒業式、結婚式や、パーティーなどは、和服に決めている。


 そりゃあお買い物は誰だって大好きでしょう。禁断症状がでるくらい我慢していたわけではないが、自分のものだって、買えるものなら、買いたいですよ。ここ数年、贅沢は敵だ!で、きていたんで・・・
 今日は、朝からはまってお買い物三昧やっちゃいます。



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※※※ 調査報告書 ※※※

 興信所から、調査報告書ができたと連絡があった。


 約束の時間、受渡し指定の場所のファミレスに行った。
 探偵君はすでに来ていた。


 私は、調査報告書と、ビデオテープを受け取った。
 開いてみると、ギンバエ尾行、ツーショットの日の事が、克明に記されていた。
 写真も少しボケていたが、誰なのかはすぐにわかった。


 「宗ちゃん、ありがとう。これで、戦えます。」
 「頑張ってください。」


 ふと、報告書にはさんである1枚の紙に目が止まった。


 「これは?」
 「はい。おまけです。ご依頼外なので。別紙になりますが。」

 見ると、アジトの所在地、契約者、契約日、家賃等が書かれてあった。

 「宗ちゃん、ありがとう。」
 「いえ、ご迷惑おかけしましたので。」
 「契約者は、ヒゲなの?ばっかじゃない?! みーちゃんでさえ、契約者は従業員にしているよねって言っていたのに。」
 「まんまですね。」
 「契約日は、2004年4月1日。これって、メール事件から半月しか経ってないじゃない!」
 「みたいです。」


 これには、さすがにショックだった。全てが計画的に思えた。
 ギンバエとヒゲの薄ら笑いしている姿が浮かんだ。


 「大丈夫ですか?」


 宗ちゃんが私の顔を覗き込んだ。
 
 「大丈夫です。」
 「顔色悪いですよ。」
 「私のこの悩み苦しんだ9ヶ月間は、いったいなんだったんでしょうね。あのメール事件もギンバエの宣戦布告だったのかもしれない。考えてみれば、何もかもが、ギンバエの企みに思えてならない。」
 「しっかりしてください!ギンバエは、神様じゃないんですよ!!」
 
 私は、ハッとした。この若い探偵君に「ギンバエは、神様じゃない!」と、渇を入れられたような気がした。


 「宗ちゃん、ありがとう。私、ギンバエに囚われすぎていたみたい。しっかりしなきゃね。戦いは今からだもんね。」
 「頑張ってください。」
 「弱気は禁物だね。」
 「そうです。こちらに非は無いんですから!」
 「そうよね!」


 と、おまけの紙に目を移すと・・・


 「どうしました?」
 「宗ちゃん、私、今、どんな顔してる?」
 「あの・・・すごく怒っていらっしゃるような・・・」
 「見て!これ!家賃5万5千円!子供達の塾の月謝が、アジトの家賃に化けてる!」
 「あ、はい。」
 「女に勉強させて何になるとか、言っておきながら!子供達の塾やめさせたのよ!ヒゲは!」
 「・・・」
 「あったまにきた!! 」
 「あまり、熱くならない方が・・・」


 「・・・・・ むふ!」


 「エ?」
 「宗ちゃん、良い物があった。」
 「???」
 「しっかり、ストレス解消させてもらうから。」
 「あのー。ちょっと・・・今度は、何を?」
 「ん?大丈夫よ!やってやろうじゃないの!」
 「あまり、過激な事は・・・」
 「ぜーんぜん、大丈夫よ!ほんとにお世話になったね。宗ちゃん、ありがとね。」
 「又、何かありましたら、ご連絡下さい。」
 「ありがとう。」


 私は、ファミレスを後にした。


 私は、車の中で、「あったじゃない!あったじゃない!」と、呟いていた。




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※※※ 我家の秘密 ※※※

 保険会社から、保険証書が送ってきた。
 ヒゲ名義の生命保険の受取を、私の名前から、次男の名前に書き換えられていた。
 男がこんな事まで思いつくだろうか?
 無頓着な、あのヒゲが思いつくとはどうしても思えなかった。
 
 「どうしたの?」
 
 長女が私の様子を見て話しかけてきた。


 「ヒゲが、保険の受取をまー兄ちゃんに変えてるの」
 「なんで、まー兄ちゃんだけ? お父さん、いつもまー兄ちゃんばかり、ひいきするよね。なんで?」


 今まで、ずっと隠してきた我家の秘密を打ち明けなければならない日がきたようだ。中学生の娘達に、もう誤魔化しは通用しないだろう。


 「あっちゃんも、話しておきたい事があるから、こっちに来て。」
 「なに?どうしたの?」
 「できれば、話したくなかったんだけどね。我家には、秘密があってね。それを知っているのは、あなた達4人兄弟の中で、おっきいお兄ちゃんだけだったんだけどね。
私とヒゲは、子連れ再婚なのよ。私にはおっきいお兄ちゃん。ヒゲにはまー兄ちゃん。合体してみーちゃんと、あっちゃんが産まれたの。だから、まー兄ちゃんは、私が産んだ子供ではないの。突然こんな話を聞いて、びっくりしたでしょう?でもね。ヒゲがあからさまにこんな事するもんで、話さないと納得いかないよね。話しても納得いかないでしょうけど。」
 
 私は悲しくてたまらなかった。私は再婚してから、ずっと、次男も私が産んだ子供として育ててきた。4人平等に育ててきたのに、こんな事を私の口から言いたくなかった。ガラガラと音を立てて、家庭が崩壊していくようだった。
 せめてもの救いだった、仲が良い4人の兄弟達が、バラバラになるのが、一番辛かった。



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※※※ 質問 ※※※

 『お通知』・・・やはり気になる。
 一体全体、この弁護士はどこまで理解して書いたのか?


 私は、この弁護士事務所に電話をしてみた。
 なんせ、弁のプロだ。抗議ではなく、質問攻めをした。
 
 「もしもし。鼻悪弁護士事務所ですか?何か、訳分からない“お通知”っていうのが、きているんですけど、先生いらっしゃいますか?お聞きしたい事があるのですが。」


 運よく、弁護士先生がいらっしゃったので、すぐに電話に出てもらった。


「鼻悪ですが、何か?」
「“お通知”っていうのが届いていますが、言葉が難しすぎて、お聞きしたくてお電話しました。」
「あー。どの部分ですか?」
「はい。ここに、他人って書いてありますが、他人って、いったいどういう人の事なんでしょうか?」
「他人だから、他の人の事でしょうね。」
「そうですか。じゃ、居住ってどういうことですか?住んでいることですよね。母が遊びに来ているのも、居住になるんですか?何日お泊まりたら、居住になるんですか?」
「そういう事は、常識的にわかるでしょう!」
「そうですか。それと、ここに強制的原状回復って書いてありますが、ようするに、ガラスうちやぶって入って来るってことですか?それは、法律的に有効ってことなんですね?」
「まあ、そういうことですが、警察沙汰にならないくらいのものです。」
「じゃ、これが、逆だったらどうなんでしょう?私が入れなくて、ガラスをぶち破って入ったら、それも、有効なんですか?」
「何でそういうことに答えなければならない!そういうことは、あなたに答える必要はない!」
「そうですか。あのですね。先生。法律に無知な私どもが、“法的措置を講ずる”を連発した文書を見れば、かなりの打撃を受けます。うちの母は、太っていて、血圧も高いんです。心臓も弱っていて、その母が倒れたんですけど、それでも、退去させなければならないのですか?」
「だいたい、そんなことは、常識でわかるだろう!」
「そうですか。色々、ありがとうございました。」


と、言ったとたん。ガチャンと電話を切られた。


 弁護士先生、どんどん声が大きくなって、語尾が荒れてらっしゃいました。どうも、怒ってらっしゃるご様子。
 やっぱり、ヒゲが自分サイドで言って、書いてもらったのだろう。弁護士先生は、内容をご存知なかったのでは?


 しかし、逆だったらの質問には、答えてもらいたかったなあ。



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※※※ ちまちま“お通知”攻撃 ※※※

2004年12月16日


 昼過ぎに配達証明付きで、郵便物が届いた。


 封書には、『鼻悪法律事務所』と、書いてあった。


 開けてみると、『お通知』という、文書が入っていた。


 内容は、鍵を変えて入れなくなった件(変えたのではなく、補充しただけなんですけど。)と、荷物を他人の家に送った件(なんで私が送ったことに?送り主は会社名なんですけど。他人って、どういうこと?)と、かってに母が居住している件(遊びに来ているのに、居住になるの?)の3件の抗議文書だった。しかも、その文書には、やたら「法的措置を講ずる」を連発したものだった。


 ヒゲのお荷物排除から、ガチャドン攻撃だけで、やけに静かだと思ったら、なんちゃーない。こんな事だったのか。
 自分でかってに出て行ったのに、正当化しようとしているわけ?
 で、法的措置を講ずる連発文書で、脅しているっての?
 自分がやった事は、完全に棚上げですか?
 「嫁はんに、追い出されました。」って、叫んでいるようなもんじゃない。大の男が、恥ずかしくないのかねー。
 あ!人間やめていたんだった。ついでに、男もやめているんだよね。なんせ、妖怪だもんね。




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※※※ 嬉しい協力者 -2- ※※※

 私はツーショット確認後、アジト偵察を強化していた。


 探偵ごっこに、高校の時からの友達、ユリが、新たに加わってくれた。
 それに、お隣の娘さんも会社の行き帰りにアジト偵察をしてくれた。
 お隣の奥さんは、朝、夕、犬の散歩がてらに、会社の偵察をかってでてくれた。
 
 一番困っている時に、手を差し伸べてくれる人達がいる。
 私はなんと、幸せ者だろう。
 弱っている私に、勇気と力を与えてくれた。この恩は一生忘れない。




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