ホルモンが作れない⁈プロテイン信者が陥る栄養療法の誤解
酵素は「遺伝子情報」から生まれる酵素とは、ホルモン合成や代謝の“作業員”のような存在で、その正体は「タンパク質」。遺伝子から転写・翻訳されたアミノ酸の連なりで構成されています。酵素を“働かせる”のがミネラル酵素単体では力を発揮できません。ホルモン合成には、遺伝子から転写されたタンパク質=酵素と、それを起動・活性化・安定化させるための“補因子(コファクター)”としてのミネラル及び微量元素が不可欠です。ホルモン合成において特に重要なるのは4つ: • 亜鉛:性ホルモン、免疫系の合成に必要 • マグネシウム:副腎ホルモン・神経伝達系に不可欠 • 鉄:甲状腺ホルモン合成・脳内ホルモンに関与 • セレン:抗酸化ホルモンや甲状腺調整に関与亜鉛は、免疫応答や炎症反応を調整する酵素の構成要素として不可欠。亜鉛が不足すると⇨免疫細胞の成熟・増殖・機能に異常が生じ、免疫力が著しく低下します。慢性的な亜鉛不足は⇨炎症性サイトカインの過剰な産生を引き起こし、自己免疫疾患(関節リウマチなど)を悪化させる原因にもなります。📝ソース:Maares & Haase, 2016『Zinc and its role in immunity and inflammation』マグネシウムは、体内で300以上の酵素反応に関与し、特にATP代謝や神経伝達、筋収縮、血圧調整、心臓機能、インスリン感受性などの生理機能において重要な役割を担っています。不足すると⇨神経過敏・不安・不眠・副腎疲労・高血圧・心疾患のリスクが上昇するとされています。📝ソース:Volpe, 2013『Magnesium in prevention and therapy』鉄は、甲状腺ホルモン(T3・T4)合成酵素(チロペルオキシダーゼ/TPO)の働きに必要不可欠です。鉄が不足すると⇨T3/T4の合成に支障をきたし慢性疲労感・動機息切れ・集中力低下・抜け毛・無気力・うつ傾向・冷え性・代謝異常などが引き起こされます。📝ソース:Verywell Health『Fixing Low Iron Could Help Your Thyroid』セレンは、T4(サイロキシン)を活性型ホルモンT3(トリヨードサイロニン)に変換する酵素(デヨジナーゼ)の構成要素です。また、抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼの材料でもあり、甲状腺を酸化ストレスから守ります。セレン不足は⇨T3不足、抗酸化力低下、免疫力低下、感染症への抵抗力低下、自己免疫疾患(橋本病など)の発症リスク増加と関連します。📝ソース:オレゴン州立大学 Linus Pauling Instituteセレンは摂りすぎている場合も毒になりますが、これらのミネラル・微量元素バランスの問題は以前から書いているのでここでは省略します。ミネラル・微量元素が不足していると⁇脳やホルモン中枢が「ホルモンを作りなさい」と指令を出しても“その材料が足りずに、うまく合成できない”という状態に陥ることがあります。つまり、感情や不調の背景にある「ホルモン異常」は、単なるストレスや心の問題ではなく、遺伝子の変異や、体内の“材料・燃料の不足”といった物理的・生化学的な要因が関わっていることもあるのです。これは、分子栄養学やホルモン研究の分野でも近年示唆されている重要な視点です。プロテインでホルモンは増えるのか酵素がタンパク質ならばタンパク質を摂ればいい!?栄養療法ではこうした誤解がよく起こります。食育脳アドバイザーの私としては、なかなか言い難い話ではありますが、一般的な食育指導もこの誤解を解かぬままタンパク質の大量摂取が指導の基礎になってしまっています。「プロテインを飲めばホルモンが整うんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、ホルモンもっとは深いです。口から摂取したタンパク質(プロテインなど)は、一度アミノ酸に分解されてから吸収され、そこから体の用途に合わせて「再構築」されます。タンパク質摂取でホルモンバランスが整うは半分嘘!必須条件があります。つづきます※本記事は、遺伝子や健康に関する知識を分かち合う目的で作成されたものであり、医療的な診断・治療を行うものではありません。体調に不安がある方は、医療機関等でのご相談をおすすめいたします。