大腸癌
北の海親方が亡くなりました。残念です。地方場所先の福岡で亡くなったこと。最後の最後までお仕事を優先されたのだと 心が痛みます。立場上決められたスケジュールではなく 親方ご自身のペースで治療ができていたら 治る可能性もあったのにと残念です。
大腸癌は 根治するために闘える癌腫です。それは二つの理由があります。
① 多発転移していても、転移はそこだけの可能性が充分にある
② よく効く抗がん剤がある
③ 骨盤内再発は重粒子線治療で根治可能。また、重粒子線治療は再照射可能
解説
一般的には多発転移があったら、目に見えない多数の転移があると推定されています。まき散らされたものは抗がん剤しか効かない。しかも、抗がん剤はいずれ(3か月から半年くらいすると)効かなくなるため 抗がん剤だけでは治すことはできない。以上より多発転移があったら根治させることはできないということになっています。大腸癌について 抗がん剤だけで治療した場合の生存期間中央値(100人の患者さんがいた時に50番目の患者さんが亡くなるまでの期間)は20カ月程度です。
でも、大腸がんの場合は、多発肝転移であっても、化学療法が非常によく奏功し、数が限定的になることがしばしばあります。具体的には 肝転移が20-30個あった症例に分子標的薬のアービタックスあるいはベクティビクスを使用して著明に縮小し、転移巣の数が減り、残存肝転移に小さなものは術中ラジオ波(RFA)で処理し、残りを手術することで根治したという例もあります。
私が治した症例は 多発肺転移で 全身療法で数を減らした後に、左肺転移巣切除術→ 右肺手術→ 右肺再発病変手術→左肺再発病変手術 と4回の手術で18個の病変を切除し、単発肝転移はラジオ波 再度1個だけ再発した肺病変はSRT(定位照射)し、そこが再発して 重粒子線治療を実施し根治しました
大腸癌の再発としてリンパ節転移があります。手術あるいはそれに加えて放射線をかけていると癒着してしまって 再発部位を上手くとりきれない可能性があり、手術はできませんと言われることも多いです。骨盤内に1か所 あるいは(近くにあるなら)2か所、重粒子線治療を実施して根治している患者さんが沢山います。放射線療法後であっても照射可能のケースも多々あります。問題は 重粒子線治療をするなら消化管と腫瘍との距離として5㎜以上必要だということです。この場合もスペーサーというシリコンを手術で間にはさんでもらい実施することもあります。
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