誰もいなくなった厨房で、一人クリームのデコレーションの練習をしている潤。
カップケーキの上に、可愛らしいクリームの薔薇が咲いていく。

「大分うまくなったじゃん。」

振り返ると、智が立っている。

「ありがと。コツをやっと掴めてきたかな。
智、まだ帰らなかったんだ。」

「うん、お前待ってた。」

「 ?  ……あ、そういえば、さっきは何の用だったの?」

「うん……」

智は丸めていた紙を潤に広げて見せる。

「これ、智が描いた似顔絵でしょ?」

智が描いた翔の似顔絵。

「え……」

何気なく見ていた潤の顔色が変わる。
似顔絵を手に取り、じっと見つめる。
幼い頃の翔の面影と重なる。

「……しょおくん?」

「…やっぱり、潤のしょおくんだったか。」

「えっ?どういうこと?」

「今日、モンマルトルの丘で会って、その似顔絵描いた。」

「翔くん、パリにいるの? てか、え、これホントにしょおくんなの?」

「仕事で来たらしいけど、櫻井翔と名乗った。で、幼馴染を探してるって。10年以上前に別れた友達、名前は松本潤。・・・お前じゃん。」

「・・・俺を探してる?」

「で、さっきまで店で、お前の作ったデザート食べてた。」

「!・・・な、なんで?なんですぐ教えてくんないの?!」

「だって、お前、今無理って…」

「はあっ?そ、それはそうだけどっ!」

潤は慌てて調理場の通用口から外に出ると、店の正面入口に回って、辺りを見渡した。

しかし、時は深夜の12時になろうとしていた。
Grand Chariot も周りの店もとっくに閉店していて、人通りは殆どない。

潤は大きくため息をつく。


「そんなに会いたいか?」

振り返ると、智が店の入り口から顔を出している。

「てか、俺そんな意地悪じゃねーし!
お前が今でも会いたくてしょうがないなら、ちゃんと連絡先教えるし!」

「智……」

「ほら、その裏を見てみろよ。あいつがちゃんと書いて置いてったんだよ。」

智が指差した先には、潤に握られた翔の似顔絵が。
巻かれた絵を広げて裏返すと、ホテルや電話番号に、明日の飛行機の時間まで書いてある。

「智……、どうしよう……?」

今度は急に弱気になる潤。

智は苦笑して、

「………それでも、会いたいんだろ?」

潤はもう一度、似顔絵の翔を見つめる。

月明かりに照らされて、微笑んでいるように見える。

「……うん、会いたい………!」




つづく




 一日遅れてしまいましたが、櫻井翔くん、お誕生日おめでとうございます🎁🎂🎉
私はどこまでも、貴方に、潤くんに、嵐に、ついていきます。

それから、中々更新が出来ず、申し訳ありませんでした。
今年はもう少し早く、更新していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
読んでくださって、ありがとう💖