前回まで23回に渡り、他の金融機関ではあまり取り上げられていないETFの話題を中心にご紹介して参りました。米国では、商品の充実と取引所の制度的な基盤が同一歩調をとっています。伝統的な投資信託はもちろん、ヘッジファンドもいずれETFに置きかえられて行くような勢いです。


通貨や商品もETFとして取引されるようになってきました。ETFのサイトも充実しており、投資家の裾野が広がっています。運用機能に加え、トレーディング機能(裁定、投機、ヘッジ)を兼ね備えた便利な金融商品はETFの他にはありません。この二つの機能は、コインの裏表のごとくお互いを補完しあっています。しかも低コストです。ETFオプションも増えています。これは、一種の金融革命と呼んでもおかしくありません。最先端のテクノロジーと金融インフラは、ETFを中心として発展しています。


株式ETFに関しては、ウォーレンバフェットのようなバリュー投資家の要請には応えられません。「ミスターマーケット」の提示する値段がETF価格のベースとなり、個別株式の本来的な価値を反映するようなETFは組成のしようがありません。個別株式であれば兼ね備えている企業の経営権(議決権)もETFでは得られません。それでも、市場全体に投資するのであれば、ETFはコスト面からみても大変有効なツールです。各国のセクターや国際的なセクター、時価総額別など、きめ細かい運用やトレーディングができます。


債券投資については、ショート戦略を個人でもとれるようになったということは間違いなく革命的です。国債でも社債でも、債券を個人が調達してショートするのは不可能でした。ETFでは、米国債やエマージング債のショートポジションをとれるのです。画期的というより他はないでしょう。日本国債のショートETFは残念ながら存在しません。日本の国債発行額は莫大であり、国の財政が悪化すれば値下りしてしまいます。日本国債のショートETFの登場が待たれます。


通貨関連の分野においても、ETFはユニークな役割を果たしています。中国元やブラジルレアルなど、中国人やブラジル人以外が保有できない通貨のポジションについてもETFを通して私たちも持つことができるようになりました。


商品分野においても、金はまだしも、参加が難しかったベースメタルや農産物、原油や天然ガスなどの取引にも個人が実質的に参加できます。原油関連のETFをロングすれば、ガソリンの値上げに対するヘッジを個人レベルでできるのです。


本日で、このブログを一旦終了いたします。長い間お付き合いをいただき大変ありがとうございました。


(第5シリーズ終了)     

1.Russell 1000(大型株)指数


・ Direxion Daily Large Cap Bull 3x Shares (NYSE Arca: BGU)

・ Direxion Daily Large Cap Bear 3x Shares (NYSE Arca: BGZ)


2.Russell 2000(小型株)指数


・ Direxion Daily Small Cap Bull 3x Shares (NYSE Arca: TNA)
・ Direxion Daily Small Cap Bear 3x Shares (NYSE Arca: TZA)



時価総額の大小別に組成されたETFです。ブルとベアが対になっているETFを取り上げました。時価総額が大きい銘柄に連動するBGUとBGZ、小さい銘柄に連動するTNAとTZAです。この4つの銘柄もDirexionSharesのファンドです。日々、指数の3倍の値動きがあります。


一日一日のパフォーマンスの積み重ねで純資産価額(NAV)が変化し、値段が決まっていきます。今日の指数に比べ3ヵ月後に10%上昇した場合、ファンドの値段が必ずしも3倍の30%上下するというわけではありません。この点は、今回のシリーズでご紹介しましたETFと同様です。比較的短期的な値動きを予想したヘッジとスペキュレーション(投機)に向いています。


チャートを見れば、3倍のレバレッジがかかっていますので値動きが大きいのがわかります。BGZは、当然のことながら、全く逆の値動きをします。


TNAとTZAも同様に逆の値動きをします。


まさに、トレーダー向きのETFと言えます。

1.Russell 1000金融サービス指数


・ Direxion Daily Financial Bull 3x Shares (NYSE Arca: FAS)
・ Direxion Daily Financial Bear 3x Shares (NESE Arca: FAZ)


2.ダウ・ジョーンズ米国金融セクター指数


・ ProShares Ultra Financials (NYSE Arca: UYG)
・ ProShares UltraShort Financials (NYSE Arca: SKF)


3.ダウ・ジョーンズ米国資本財指数


・ ProShares Ultra Industrials (NYSE Arca: UXI)
・ ProShares UltraShort Industrials (NYSE Arca: SIJ)


今度は、セクター別のETFです。金融関連ETFは、サブプライム問題やリーマンショックで人気が急上昇しました。3倍のレバレッジというと必ず顔を出すのは、DirexionSharesというETF会社です。 ショート&レバレッジ型ETFではProSharesと双璧を為す運用会社です。金融セクター指数(大型株)に連動する2商品がFASとFAZです。毎日、ザラ場で指数の3倍の値動きをします。ProShares UltraShort Financialsは、リーマンショック以降、株式も含めた毎月の売買代金がトップ10の常連銘柄となりました。金融株が下落しても、空売り規制でショートできなかったトレーダーが「買った」わけです。金融株をポートフォリオとして保有している筋も、ヘッジとして購入しました。相場回復とともに、ブル型にトレーダーの重心は移っています。2倍、3倍の値動きにかける向きにとってはとてもおもしろいファンドです。投資効率が高いので人気を集めています。


Ultra Industrials(UXI)と(SIJ)は米国株式市場に上場する建設、素材、航空宇宙産業、電気機器、工業輸送などを含む企業に投資します。米国の景気回復を予想する向きには、有効な商品です。長期投資ではなく、短期的な値動き、とくにボラティリティが高いときに大きく利益を狙いたい、あるいは、保有しているポジションのヘッジをしたいトレーダー向きのファンドです。


チャートを見れば一目瞭然ですが、形は正反対になります。3倍のレバレッジが掛かっているので、価格変動が大きいのがわかります。





1.NYダウ工業株30種

・ ProShares Ultra Dow30 (NYSE Arca: DDM)
・ ProShares UltraShort Dow30 (NYSE Arca: DXD)


2.ナスダック100指数

・ ProShares Ultra QQQ (NYSE Arca: QLD)
・ ProShares UltraShort QQQ (NYSE Arca: QID)


3.S&P500指数

・ ProShares Ultra S&P500 (NYSE Arca: SSO)
・ ProShares UltraShort S&P500 (NYSE Arca: SDS)


さて、レバレッジ系並びにショート系の代表的な銘柄です。NYダウとナスダック100、S&P500に関連するETFです。NYダウ工業株30種は、おそらく世界で最も有名な株式インデックスです。ナスダック100指数は、ナスダック銘柄の中で時価総額が大きく流動性の高い100銘柄で構成されています。S&P500は、アメリカの代表的な銘柄500種で構成され、機関投資家が好んで使用する指数です。ProSharesというのは、レバレッジ&ショート分野の代表的なETF会社の一つです。Ultraとついたものは、ProSharesにおいてはレバレッジ2倍を意味します。サブプライム問題からリーマンショック後においては、特に、UltraShortが力を発揮しました。下げ相場において、既存ポジションのヘッジに大活躍しました。空売り規制が為されたため、既存でポジションを持っている投資家は大変困ったわけですが、これらのETFを活用し、難を逃れることができました。市場の株価と逆に2倍の値動きをするので資金効率も高かったわけです。一方、投機を狙うトレーダーにとっても便利でした。何年に一度かもしれない、一方的下げ相場という状況でしたので、勝負できました。昨年春先以降の株価の回復では、ロングサイドで2倍の取引ができたのも有効でした。これらの銘柄は1株単位で取引できるので、投資家のすそ野が非常に広くなっています。ETFの場合、先物やオプションと違い、限月や満期がありません。損をしても、追証をとられたりすることはなく、また、値段もゼロ以下になりません。注意点ですが、これらのETFは、一日単位で値段を見ていく必要があります。1ヵ月後にダウが10%上昇すると、1ヵ月後にファンドの値段が2倍の20%上下するというわけではありません。一日、一日のパフォーマンスがつみ上がっていくことになります。無論、日々、ザラ場ではインデックスの2倍の値動きをします。その意味ではデイ・トレードに向いている銘柄とも言えます。

第5回シリーズでは、レバレッジ型とショート型のETFについてご紹介します。前回のブログでは、債券のレバレッジ型とショート型のETFをご紹介いたしました。今シリーズでは、株式のインデックスに関するETFを中心に取り上げます。レバレッジ型は、ETFが参照するインデックスの2倍ないし3倍の値動きをします。ショート型は、買いを入れることにより、ショート=売りの効果を得られます。この二つのタイプのETFは、日本には存在しません。