形勢逆転×年下男子
雑誌撮影で北人と2人で表紙を飾る。
凛々しい〇〇と愛らしさ溢れる北人、
ファンからも“ほく〇〇”と愛される2人と好評である。
《吉野さんと〇〇さん入られます!本日よろしくお願いします!》
スタッフに連れられてスタジオに入り、撮影が始まる。
〔北人くんその表情いいね!〕
{〇〇ちゃんかっこいい}
【2人かわいい】
撮影中は結構近い距離感の要望のショットが多かった。
スタッフからも好評で楽しい現場のはずなのに、北人から違和感を少し感じた。
《一旦30分休憩入ります!》
一旦控え室に戻る私たち。
私はブログを打ってると、肩口に顎を乗せ抱きしめられる。
「もう、なに?」
『別に、、』
「なんかあった?」
抱きしめる手が強くなる北人。
『、、全部〇〇のせいだもん』
「え?私?」
『、、バレンタインの日壱馬にだけ別のあげたでしょ?』
「あー、あれ?足りなかったから急遽ね。あの日大変だったの、
スタッフさんに材料少し分けてもらって急いで作って、、笑」
『、、あんなことしなきゃよかった。』
「え?」
『あの時、本当はちゃんと16個あったの』
「そうなの?」
『俺が多くとった、、』
「もう、そうだったの笑?やっぱり間違ってなかったんだ笑」
『だからって、壱馬だけのためにわざわざ作らなくても良かったじゃんっ!』
「まぁ、でも毎年楽しみにしてくれてたって聞いてたし、1人だけあげないのも可哀想だし、、」
『それ、俺が良かった』
「え?あれ、美味しくなかった?」
『そうじゃない、、』
「ならなんで?」
『俺だけ特別になれたでしょ、、』
「そんな大したものじゃないのに笑」
『それでも、みんなと違うのが良かった、、』
「なら来年は別々の作ろうかな。
でも、一つ一つ違うの作るのは大変なんだよ?」
『なら、俺だけにしてよ』
「え?何言ってんのー笑?」
笑って言って見せると、目の前には真剣に見つめる北人の姿があった。
『そろそろ気づいてよ』
「なにがっ?」
明るい雰囲気だった2人の空間が、彼の熱い視線で一気に変わる。
『本当はわかってるんでしょ、俺の気持ち』
「どういうこと笑?」
『、、俺〇〇のこと好きだから』
そう言われて、そのまま唇が重なっていた。
「っ、//!?」
すぐ我に帰り、北人を突き飛ばす。
「な、なにしてんのっ!?」
『ん?キスだけど?』
「何淡々と言っちゃってんのっ、//?!」
『そうでないと意識してくれないと思って』
「、、いやっ、何言ってんのほんとっ//」
プチパニックの私と、通常運転の北人。
私の様子を見て笑ってる。
『〇〇かわいい』
いつもなら流してた言葉も、さっきのキスのせいで顔が熱くなる。
ほんと調子が狂う。
あんなことしたのに、いつものようにくっついてくる。
背中かから伝わる北人の温もり、意識しないようにしようとしても余計意識してしまう。
「もう、北人のばかっ!離れてっ!」
くっつく北人の手を払って、離れようとするけど敵わない。
「ほんと、離れてっ」
『無理笑真っ赤だよ、〇〇ちゃん笑』
耳元で囁かれれば、
自分でも自覚するほど赤くなってるのが嫌でもわかる。
『こんな反応してくれるなら、もっと早くしておけば良かった笑』
「なに、、をっ、、っん//」
わざと音を立てて重ねられたキス。
『これを笑』
《撮影再開しまーすっ!》
遠くでスタッフが叫ぶ声がして我に帰る。
『、、次の撮影も楽しみだね笑?ほら行くよ』
手を引かれ、スタジオに戻る私たち。
後半の撮影は変に彼を意識してぎこちなくなってしまった。
「ほんと、全部北人のせい、、」
『あれ笑?なんか聞き覚えあるその言葉笑』
平常心を隠すのに必死な私を、嘲笑いながら見つめる北人だった。