まずはなぜ私が専業主婦になったかといいますと、退職したからです。
この御時世、結婚したからといって雇用と収入の安定した公務員を辞めたがる人なんてめったにいません。

しかし、私は採用からわずか数年で限界を感じました。

心が病みそう、というか病んできたのです。

私は公安系の公務員でしたので、毎日、毎日、犯罪者と接し、彼等の生い立ちから犯罪に至る経緯を詳しく知ることになります。

そうすると、そこには絶望しかなかったのです。彼等はあまりにも少ない選択肢の中から犯罪者になるという道を選んだ。

自業自得。そうかもしれません。しかし、あまりにもむごい現実に私まで絶望を感じました。

一方、私の上司たちは、清潔で安全な場所で勉強に励み、日本で一番難しいと言われる試験に合格したエリート達です。

けして、交わることのない彼等の人生。

取り調べはかみ合わない会話を繰り返しながら中途半端な調書ができて終わる。

人は産まれながらにして平等ではない。

結局、私が公務員人生に悟ったことはこれだけです。