(ツルっ!)



(どっしーん!)




 大きな音ともに、縄から落ちる茄子一人。

 むしろ一匹。


「くっ!どうして!」


 なぜ滑り落ちたのかが分からない俺は再度、首に縄を掛けた。



(ツルっ!)

(どっしーん!)



結果は同じ。幾らやっても、何度やっても、縄から滑り落ちる。






そう。







茄子になった俺には










首が無かった(ちーん)






 首が無い事に加えて、日々、ツヤを増して傍から見れば美味しそうに熟れている。

 これも原因に一つかも知れない。


 どちらにしろ、縄では死ねないのだ。



 俺は、再度ホームセンターへと足を運んだ。





そんなの関係ねぇ!



 またしても、冷たい視線が突き刺さる。

俺は足早に、その場を後にして、家へと急いだ。




・・・そう、死ぬ為に。



 家へと着いた俺は、すぐさま二階へと行き、先ほど購入した縄をセットした。




・・・そう、首吊りの為に。



 準備は出来た。ナスになり、土恵に大笑いされた、この世に未練など無い。







さようなら、父さん

さようなら、母さん


こんな親不孝なナス息子でゴメンなさい。



さようなら、土恵


貴女の事が好きでした。

あなたと一緒に野菜を育てたかった。




 グッバイ!この世!


 一気に、首を縄へに掛けた。





”そんんなのかんけぇねぇー!”





・・・あぁ、何て流行に詳しいのだろう。






茄子 なのに。




流行に敏感なナスなんて俺のみだろう。





・・・何て思いをめぐらせていると、冷たい視線が四方から突き刺さった。



まぁ、無理もない。ナスが小島よ○おの芸を道のど真ん中でやっていたら誰もが驚くにきまっている。



しかし、ナスの俺に、まわりの視線など、






関係ねぇーっ!!





「死のう」



そう覚悟してからの俺の行動は素早かった。


ホームセンターへ出向き、所持金のほとんどを使いを購入した。



周りからの視線は相当キツかった


どうせ死ぬ身






そんなのかんけぇねぇ~


はい、なっぱっぴー





「こんにちは」


思わず声を発し、頬をポリポリとかいた。



『・・・え?その声は、もしかしてナスヘッド?』


・・・ナスヘッド、もちろん俺が人間時代のあだ名だ。


「ナスヘッドって言うなー!」


『あ、やっぱりそうじゃん、何してるの?コスプレ?』


「ちげーよ」


『コスプレってもナスは無いでしょ、いくらアンタがナス顔でも、コスプレでナスになるのは、日本中でアンタだけだよ。


「うるせーな、好きでナスになった訳じゃねーよ!」


『またまたぁ、ナス好きのくせに


「・・・ちげーよ!朝起きたら顔がナスになっていたんだよ!コスプレでナスになる訳無いだろ!


熱くなったのも手伝い、思わず口が滑ってしまった。


『・・・へ!?本当なのそれ?』


「残念ながら本当なんですよ。」


『ぷぷぷ・・・・プギャ━━━m9。゚゚(゚^Д^≡^Д^゚)゚゚。9m━━━━!!!!



「笑われた・・・死のう。」



人生で初めて死を決意した瞬間だった。