(……?)
着物を纏った少女は、二人の人間――本から浮かぶ小さな姿には、驚くことに気づいておらず――を目の前にして、きょとんとしてしまった。
そして少女はあることを考えていた。嫌に深刻そうな表情で、だ。
暫しして、当方のみに訪れていた沈黙を少女が静かに破る。
「…ねえ、ボロ子ちゃん」
「ほけ」
「この人たち、……誰なのかな?」
「ほけー」
「ん、そうだよね。ごめん」
知る由のない問をしてしまったと、少女は眉尻を下げた。
しかし少女は、自分でも何故こんな質問をしたのかわからなかった。
この人たちは、誰なんだろう?
驚くほどに純粋な疑問。
その中に、否その疑問を抱いたとき心を過ぎった思いに深い意味があったことに。
少女は、気づくことはなかった。
ふと少女は、二人組の方へ視線をやった。
二人は小声で何かを話しているように見える。否、そうとしか見えないのだが。
「…ぁ、ね、ましゅ?見てるよ、こっち…」
「え、ちょ…そんなこと言われても困るし…ッ」
「お、おなか、すいたんだけど」
ぼそぼそとした話し声は少女の耳にも入るが、少女は耳が悪いのか小首を傾げた。
ただ、少年が口にした言葉は少女の耳に強く残った。
「あの」
「は、はいッ?」
若干うわずった返事に少し遅れ、少女は袂のあたりに手を忍ばせた。
手を戻すと、少女の手には竹の皮の包みがあった。
藁でしっかり結ばれた、丈夫そうな包みである。
「おにぎりでよければ、どうぞ」
少女は両手で大事そうに包みを持てば、二人組にそっとさしだした。
二人組は、どこか驚いているようにも見える。
一方少女は、自然と微笑んでいた。