暗い表情でダンナさんの前に正座したタイ坊。

ダンナさんは、タイ坊が怯えないようにゆっくり向き直った。
 
「ママに説得されたから、パパが怒った理由をちゃんとタイ坊に伝えようと思う」
 
タイ坊が少し身を固くした。
 
「タイ坊やチイ坊はお刺身や寿司が好きなのに給料日前は『節約、節約』ってパパママがうるさくてなかなか食べられないから、今日は喜んでもらいたくて買ってきた。
夕食の他のメニューは野菜ばかりだから、少しでも食欲がわくように、楽しい気持ちになるようにしたかった。
 
……だけど、タイ坊もチイ坊も一口も食べようとしないし、あまつさえ寄生虫の話しをしたから、すべてが無駄になってしまったような気持ちになってしまったんだよ。 
ガッカリして、悲しくて、ついキツい言い方になったし、言い過ぎた。ごめんな」
 
タイ坊の顔がくしゃりと歪んだ。
 
「ぼくは、パパの気持ちを台無しにするようなこと、したんだね。
喜ばせてくれようとしたのに、ごめんなさい」
 
泣き笑いのような顔をして、パパにぺこりと頭を下げた。
 
「お刺身を見たら、真っ先にニュースが頭に浮かんで。……それだけでいっぱいになって、作ってくれたパパの気持ちなんて考えもしてなかった」
 
発達障害の子が(わたしもだけど)想像力が足りないって定義があるけど……人の気持ちを思いやる優しさはしっかりあるし、物語や話を聞けば、きちんと共感したり、感動もする。
 
正義感は人一倍だし、喜ぶ顔が見たい、役に立ちたいという気持ちの塊だ。
 
『今』の自分の気持ちに捕らわれて、少し先の見通しや予想が立てづらくなり、混乱することがたびたびあるけど。
 
『空気が読めない』=場にそぐわない態度や発言をしてしまう、というのも。
 
その人が感覚過敏から身を守ろうとして周りの状況を解ってなかったり、
打ち消したいけど消せない不安感からくる『こだわり』から、衝動的に出てしまったり、
 
そんなタイミングの悪さが積み重なって、
 
悪目立ちしてしまうのだろう、とわたしは感じてる。
 
状況を本人が納得、認知出来れば、とても素直な心を持っている。痛々しくなるほど。
 
だから、『無神経。人の気持ちが解らない。ワガママ』とか、ムカっとなる大多数の気持ちも分かるけど、
 
どうか、もう一歩、その人に歩み寄り、気持ちを聞いたり、理由を正確に説明してあげてください。
 
1言えば10分かる。どころじゃありません。
 
1言って、4。良くて7くらいです。本人も自覚してないけど(x_x)。
 
『佐藤さん』は、世の中の定型発達の人達を、テレパシー能力が使える超能力者だと思ってます。とくに日本人は、その場の雰囲気に強いのかなぁと(^◇^;)
 
でも、『空気が読めない』って言葉。なんか、すっきりしないのです。
人が放つ華やいだ空気や、怒気。不穏な気配。わたしは変わった瞬間、すぐにわかります。たとえすぐに理由は判断出来なくとも。
第6感めいたものも、(何かありそう。とか、ここはマズいとか。周りの人達の意識を向けてる方向とか)あります。
 
たぶん、『気』や『気配』は、野生動物の防衛本能に近い敏感さなんだけどなぁ…(^0^;)
 
 
タイ坊とパパは、その後ちゃんと仲直り出来ました。
 
お店で出してるお刺身はしっかり管理してる事。
青虫が食べるキャベツは、虫さんが美味しい美味しいと食べる安全な野菜だという事。
虫除けがついてる野菜はボロボロになってなくて綺麗だけど、きちんと洗ってから料理する事。
 
人は、色々な生き物と共存・共生して、生かされている事。
 
などなど、たくさん話せた夜でした(*^▽^*)
 
 
 
 


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