日は百代の過客にして 行かふ年も又旅人也
舟の上に生涯をうかべ 馬の口をとらへて老いを
むかふるものは 日々旅にして旅を栖かとする
古人も多く旅に死せるあり 予もいづれの年よりか
片雲の風にさそはれて 漂白の思ひやまず


松尾芭蕉である 数年前東北を旅しました 
松島から平泉 奥の細道のたびでした

まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき

前にさしたる花櫛の 花ある君と思いけり

やさしき白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは

薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり

わがこころなきためいきの その髪の毛にかかるとき

たのしき恋いの盃を 君が情けに酌みしかな

林檎畑の樹の下に おのずからなる細道は

誰が踏みそめしかたみぞと

問いたまうこそこひしけれ 島崎 藤村

いずことしなく しいとせみの啼きけり

はや蝉頃となりしか せみの子をとらえむとして

熱き夏の砂地をふみし子は けふ いづこにありや

なつのあわれに いのちみじかく みやこの街の遠くより

空と屋根とのあなたより しいいとせみのなきけり

   これも 犀星です