羽下 夕 「コントラスト」 読了。
冒頭の一文で掴まれた。逆にこの文で掴まれない人間などいるのだろうか。
「神様と公園でシーソーをしていたところ...」から始まるこの小説は題名の通り、現代社会という小さな差異から大きな差異が複雑に絡み合う舞台をシンプルに表現している。また、独特の比喩も突飛であるはずなのになぜかその表現しか当てはまらないように感じてしまう。
ラブホテルのことを「児童相談所」と表現したところは字の如く舌を巻いた。
物語の山場、主人公が40分に1本しか来ないバスを逃してしまうシーン。主人公が何も言わず、中くらいの石を蹴るという描写には言葉では捉えきれない感嘆があった。
ネタバレもOKなので、結末の感想も述べると、赤羽駅のキオスクでメントスを2つ買うシーンは涙なしには読めない。時間を忘れるくらいの小説に出会ったのは久しい。
皆さんも是非一読を。