Jpop歌詞考察♯02

『カブトムシ』aiko

1999年11月17日リリース

作詞 AIKO


はじめに

この歌はいろんな解釈がされています。

なぜカブトムシなのか。

ロマンチックなメロディにのせて

なぜ、私はカブトムシと歌うのか。

そんな疑問から考察を始めました。


section1 歌詞

悩んでる身体が熱くて

指先は凍えるほど冷たい

「どうした はやく言ってしまえ」

そう言われても私は弱い


section1 考察

主人公は何かに悩んでいる。指先が凍えるほど冷たいという表現がうまいなぁと思うのだけれど、何かを言おうと覚悟してきたがなかなか言い出せない緊張感を感じる。


section2

あなたが死んでしまって 私もどんどん年老いて

想像できないくらいよ 今が何より大切で


section2

この歌のなかの「あなた」と「私」は不倫関係にあると仮定します。

そう考えると主人公が言おうとしていたことも紐解かれていきます。

主人公は悩みながら相手との関係の終わりを伝えようとしていた。許されぬ関係において、別れの決断は二度と会うことのできない「死」と等しい。そしてその関係の中には“今”しかなく、ある意味時間は止まったまま。関係が終わればまた時間は動き出す。だから「あなた」は「死」で「私」は「年老いる」となるのではないだろうか。


section3 歌詞

スピード落としたメリーゴーランド

白馬のたてがみが揺れる


section3 考察

この関係は“遊園地”と割り切っていたはずなのに、終わりを意識するとたまらない気持ちになり、本物と錯覚してしまうほどのめり込んでしまった。


section4 歌詞

少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ

甘い匂いに誘われた私はかぶとむし

流れ星流れる 苦しうれし胸の痛み

生涯忘れることはないでしょう

生涯忘れることはないでしょう


section4考察

なぜ「私とあなた」は「かぶとむしと木」なのかについて私なりの解釈は二つ。


①いわゆるひと夏の恋人の比喩

一説にはaikoさんはかぶとむしを夏の虫と知らずに書いたという逸話もあるが、夏の虫の象徴的な存在であるかぶとむしに自分を重ねる意味としては考えやすい。


②傷口を舐めるだけの存在

例えば“花と蝶”の関係であれば花は蝶に蜜を吸われる代わりに花粉を運んでもらうというwin-winの関係といえる。だけど“かぶとむしと木”の関係は樹液を舐められる木の側には大きなメリットはあまり無い。かぶとむし採集なんかでは木に切り込みを入れて、その傷からでた樹液でかぶとむしを誘き出す。つまり傷口を舐めるだけの存在と考えられる。


そしてこの歌の象徴的なフレーズである

「生涯忘れることはないでしょう」

普通のラブソングであればここの部分は、最大級の愛の言葉をのせてくるところ。

だけど、この歌の2人の関係は後ろめたさがあるから大きな声で愛の言葉は口にできない。だから許される範囲の中で最大限の愛の言葉は“私の人生にとって”というエクスキューズがつくのだ。そのもどかしさゆえ、2回繰り返し、それが切ない伝わり方をするのだと思う。


今回は一番のみで考察を終わりにします。

個人的にはこの歌はずっと長い間、何も考えずただなんとなくで伝わる切なさで聞いてましたが、ちゃんと歌詞を考察をしてみると、物凄くリアルなドラマが見えてきて作詞の技術に驚かされます。


すごいなぁ。



ではまた。