デスクワーカーの憂鬱 | いつか見た空の続きを

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空と書いてゆめと読みます。コラージュ作家、イラストレーター引地渉のブログです。

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デザイナーの岡本健+さんの誘いで北の丸公園へ。
さすがにもう花見をする人はもういないだろうと思っていたが
九段下のあたりがすごい人込みでびっくり。
「ああ、週末だから、花見気分が続いている人もいるんだな」と
一瞬納得している自分がいた。
たまった宿題を憂う最後の一週間だけが永遠に続くような
「毎日が夏休み」な日々を続けている僕の妄想力は
かなり逞しくなっているようです。

何のことはない武道館にDestiny's Childが来ているからで、
さすがに葉桜見をしようという酔狂者はそんなにいる訳がないです。

基本的には脇雅世さんの本
「置く・休ませる」に関わった人たちの飲み会。
「理科室の実験のような」と言っていたけど、
料理本としてはかなり異色な作りらしい。

僕は全く関係ないんだけど、Ku:nelとか多少接点がありそうなので
呼んでくれたみたい。
フード系の人たちとはあまり縁がなかったので、ちょっと面白かった。
食と言うのは奥が深い世界だなあ。

酒も入って、歯に衣着せぬ方々と、
ほとんど他愛ない話を楽しくしていたのだけれど、
その何気ない会話の中で、
「イラストレ-ターはデスクワーカーだよね」
と言われて少しどきっとした。
自分がデスクワーカー。
考えたこともなかったけど、確かにそうだ。
仕事の絵は机にかじりついて製作している。
デザイナーもそうだなあ。

カメラマンもイラストレーターも、
同じ誌面のビジュアルに関わる仕事だが、
前者はカメラを持って撮りに行く時点で、
根本的なアクティブさが違うような気がした。
撮影はスタイリストやモデルとの協同作業でもあるだろうし、
大分外に開かれている感じがする。

僕の場合はフリーになってからというもの、
独りで制作に打ち込む方が気楽なこともあって、
そういう対外的なアクティブさとは
かなり縁遠い所を歩いてきてしまっていることに気付く。

お金の事とか、現実的な部分での危うさは
嫌が応でも身にしみてわかるのだけど、
もっと別の種類の危うさがそこにはあることには、
あまり気付いてなかった。

イラストルポとかするイラストレーターは
カメラマンと似たようなスタンスかも知れない。
パーティーを開いたり、人と飲んでる方が好きな
イラストレーターもたくさんいそう。
実際多いな…。
まあ、結局は本人次第か。

人と会って話をする。
新しいものを探しに行く。
そんな当たり前の事が億劫になってしまう前に。
黙々と作品を作るのもいいけど、
時々は外の空気を吸いに行こう。

いつになく前向きにそんなことを考えていたら、
岡本さんの「嫁さんは酸素ボンベ」という発言を
思い出して、ちょっとおかしくなった。