VAD装着中の合併症について記録して
いきます。
※いただいた資料を参考に記載しています。
VAD装着中の合併症
☆脳梗塞・脳出血☆
血液は人工心臓などの異物に触れると
固まって血栓を形成する。
血栓が血液に乗って脳梗塞などの血栓症を
引き起こす事があるため血栓予防のために
ワーファリン、バイアスピリンなどの
抗凝固剤の内服が必要となる。
抗凝固剤の効果が強くなりすぎると出血傾向
となり、脳出血を引き起こすことがある。
⇩脳梗塞・脳出血症状⇩
頭痛・めまい・手の痺れや麻痺・脱力感・
言葉が出にくい・呂律不全・意識障害・痙攣
視野狭窄・吐き気・嘔吐など…
※上記症状がある場合は直ちに病院連絡!
※早期発見・早期治療が大切!
☆ドライブライン針入部感染☆
VADは体内に血液ポンプが植え込まれており
血液ポンプはドライブラインと接続し皮膚
を貫通してコントローラーと繋がっている。
ドライブラインを介して体の中と外が交通
しているため、ドライブライン出口(刺入部)
に細菌が繁殖して感染症を引き起こすことが
ある。
これらの細菌が血液中に入ると※敗血症に
なることがあるため皮膚の清潔保持やケア、
密な観察と正しい消毒を行い管理する。
※敗血症とは↓
感染症への罹患をきっかけに心臓や肺、腎臓など
様々な臓器の機能不全が現れる病態。
敗血症の中でも重篤な循環、細胞代謝の異常を呈する
重要なものを敗血症性ショックと呼ぶ。
重症化すると4人に1人が亡くなると言われている。
⇩感染の兆候⇩
刺入部やドライブラインの走行に沿って
発赤・疼痛がある場合。
その他として
腫脹・浸出液・不良肉芽の形成・
臭気の有無・掻痒(かゆみ)・発熱
がある場合は病院連絡を行う。
☆心不全☆
VAD装着後に生じる心不全は主に2種類。
1つはVADシステムの不具合で補助流量が
十分に得られない状態。
もう1つは右心不全が起こる可能性。
VADは主に左心室の機能を補助し、
右心室の機能を補助することがほとんど
みられないため、VADを装着しても
右心不全になる可能性がある。
VAD装着後も右心不全にならないように
引き続き塩分制限や水分摂取量など
日常生活管理に注意すること。
⇩心不全症状⇩
息切れ・動悸・喘鳴・倦怠感・嘔気・腹痛
食欲不振・手足の浮腫・体重増加・
尿量低下・チアノーゼ
ポンプフロー(流量)が普段より低下している
など…
※右心不全の特徴
右心不全を起こすと全身の静脈に血液がたまった状態
になるため、肝臓・胃・腸・腎臓など臓器に負担が
かかる。そのため、浮腫や体重増加、食欲不振などの
症状が現れる。
※上記症状がある場合は早目に病院連絡!
☆出血☆
抗凝固剤の内服によって出血しやすくなる
髭剃り・かみそりなどで傷を作らない、
歯ブラシは柔らかいものにする、
転倒・打撲などに注意する。
VADは色々な条件で出血傾向が助長され
やすく、消化管出血や卵巣出血などが
起こる事もある。
⇩出血症状⇩
鼻出血・歯肉出血・皮下出血・月経過多・
血便・黒色便など…
血が止まりにくくなるため、
これらの症状には注意が必要。
☆血栓☆
抗凝固剤が効きにくくなると血栓ができて
しまうことがあるため、脳梗塞などの血栓症
の他にも注意が必要となる。
⇩血栓症状⇩
・ポンプ音に異常がある
・ポンプパワー(出力)値の異常な上昇
その他の血栓疾患
※異常値の場合は病院連絡!
☆溶血☆
VADを装着していると血液ポンプで全身に
血液を送り出すため、血液ポンプの中で
血液が破壊される事がある。←溶血という。
個人差はあるが溶血を完全に防ぐ事は難しい
ため、もし出現した場合は治療が必要になる
事がある。
血尿が見られた場合は病院連絡!
⇩
コーラもしくはワインのような赤茶色の尿
VAD装着中の主な合併症のみ記載しています
細かな症状などは入れていませんが、装着者
の基礎疾患や現在の病状などによっても
異なる場合があるので主治医や看護師から
注意されていることをよく理解し把握して
気をつけていけると良いですね
重篤な疾患に繋がる危険性があるので、
少しでも気になる症状が見られた場合は
病院連絡をして症状を伝え、対応を聞く
ことが大切だと思います