今回紹介させていただくのは宇多田ヒカルさんのtravelingです。


私事ではありますが、子供の頃、この曲が車の中で流れていることがよくあり、私にとって思い出深い曲となっております。


まあそんなことはどうでもいいとして、、、



この曲は2001年11月28日にリリースされた、宇多田ヒカルさんの9枚目のシングルになります。
もう20年以上前の曲になっています。

20年以上前の曲なのに、いまだに新しく感じる曲ですね。宇多田ヒカルさんの曲は本当に不思議な曲が多いです。

今回紹介するTravelingはとてもキャッチーなサビが印象的でそちらがフォーカスされることが多いので、ここでは私が思うこの曲のヒットの原因をお伝えできればと考えております。


私が考えるこのの曲の大きな特徴はやはり歌詞だと思います。



日本人はサビが好きな方が多いため聞き流してしまいそうになるAメロ、Bメロの歌詞ですが、これらの質の高さが今なお愛されている所以になっていると考えます。


早速参りましょう。

一番初めのAメロはサリーマンやOLさんが考えるような歌詞ですね


仕事にも精が出る
金曜の午後
タクシーもすぐつかまる
(飛び乘る)
目指すは君

「どちらまで行かれます?」
ちょっとそこまで
「不景気で困ります
(閉めます)
ドアに注意」


ここで感じるのは近未来をイメージさせるようなイントロからそこから遠く離れたようなリアルな仕事終わりの歌詞のギャップです。

イントロの音色だったり楽器のイメージから思い浮かぶものと歌詞のギャップとの乖離が絶妙。歌詞が妙に生々しく感じます。

日常生活を過ごす私たちにものすごく寄り添った、共感しやすい、いや、共感せざるを得ない歌詞だと思います。


さらに加えて衝撃的なのはこの後のBメロです。


風に またぎ 月へ登り
僕の 席は 君の隣

ふいに 我に 返りクラリ
春の 夜の 夢のごとし


このBメロ。非常に聴き心地がいいと感じませんか?

歌詞の内容からAメロでタクシーに乗り、君の隣に向かう。
そんな思いを窓を開けて思い耽っていたら我に返り、春の夜の夢のように感じた。

ものすごい歌詞の情景をイメージしやすいです。

この異常なまでの歌詞のイメージのしやすさ。どうしたらこんな素敵な歌詞を書けるんでしょうか。

しかもそれをしれっと韻を踏みながらリズム良く伝えてくるのが宇多田ヒカルさんのすごいところだと私は思います。

宇多田さんがこの曲を作られた時は時期的にはUSヒップホップがかなり盛り上がっていた時期で間違い無いでしょう。
彼女自身もアメリカで育ってきたバックグラウンドがあるのはみなさんご存じたと思いますが、それをここまでのクオリティでJ-popに昇華するのは、今日ならまだしも、2000年代初めに行うのはもう尋常ではありません。


いかがでしたでしょうか?日本の音楽ではサビが重要視されることが多いですが、サビ前のクオリティの高さも重要だと思います。

ぜひこのA、Bメロを意識して聴いてみて下さい!