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●タロットカードの正位置と逆位置

 「タロットデッキは、現在のように印刷によって大量生産されるようになる以前は、1枚ずつ手書きで作られていました。

そのため、ヴィスコンティ版のように美術品としての価値が高く、それぞれが独立した絵画としても十分に鑑賞にたえられるカードが少なからず存在しました。

 絵画のようなタロットカードには、トランプと違って明らかな上下があります。

これによって場に現れるカードは、占者に向かって天地が正しければ正位置、逆向きならば逆位置となり、その現れ方によって解釈も変わってきます。

ただし、逆位置のカードが必ずしも正位置の逆の意味合いを示すとは限りません。

逆の意味の場合もあれば、意味合いが弱まるなど、その解釈がさまざまなことは、すでに見てきたとおりです。

 占術家やタロティストの中には、リーディングにこのカードの正逆を採用しない、という人たちもいます。

正位置で現れようと逆位置で現れようと、同じカードなのだから解釈は同じであるという考えで、タロットカードの正逆を採用するかしないかは、意見が分かれるところです。

 本書では、正位置・逆位置両方の意味合いについて解説しています。

著者である私自身は、占者にとって場に現れるカードは何らかのメッセージを携えていて、カードの正逆にも何らかの意味があり、それは偶然の中の必然であるはずと考えるからです。

しかし、その考えを押し付けるつもりはありません。

あなたがどちらの立場でタロットカードをリーディングするかは、あなたの考え方しだいです。」

(p155より抜粋)


★★★ ★★★ ★★★ ★★★


上記は、ルナ・マリア先生の著書『いちばんやさしいタロットの教科書』から抜粋しました。


いちばんやさしいタロットの教科書/ナツメ社

Amazon.co.jp
※この本は2011年に出版されました。



前回松村潔先生の逆位置解釈をご紹介しましたが、それに比べるとルナ・マリア先生は非常にニュートラルな立場、かつ簡潔に説明されています。


松村先生のように、「~すべき」とは書いていません(笑)


この本が「いちばん」やさしいかどうかはわかりませんが、カラフルでとても読みやすい本ではあります。


アマゾンのタロット本ランキングでは堂々の1位でした。


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多くの方が初心者向け…と書いていますが、わたしの意見はちょっと違います。


ある程度タロットの世界観や図象を勉強してからの方が、この本に書いてある解釈がどうしてこうなるのか頭で理解できると思います。


何も知らない初心者がこの本からスタートすると、丸暗記の罠にはまってしまうんじゃないかなぁ…。


なぜわたしがそう思ったか。


例として【女帝】のページを見てみましょう。


大アルカナに関しては、各カード2ページを使って概要が紹介されています。


※わたしが「ん?」と思った部分を赤文字にしています。




【主要イメージ】

生命力・繁栄・妊娠と出産
女性性・生産性・浪費
美しさ・母性・独断
豊穣・結婚・依存


【正位置キーワード】

●豊かに包み込むような愛情

●安定しリラックスできる、居心地のよい環境

努力に対して繁栄と豊穣がもたらされる

幸運や成功はすぐ近くにあるでしょう

 努力が実って、よりよい成果が現れる時期が近づいてきています。
今のまま継続していくとよいでしょう。
恋愛や結婚に関して、うれしい展開が期待できます。
細かいことにこだわらず、おおらかな気持ちでいることが大切です。
身近な人への配慮や優しさが、あなた自身にプラスとなって返ってくるでしょう。
目の前のことに一生懸命取り組めば、必ず結果はついてきます。


【逆位置キーワード】

●自己主張が強く、強引で空気が読めない

●でしゃばりで押し付けがましく、お節介による迷惑

●依存しすぎや、頼りにされすぎることからの破綻

落ち着いて善後策を考えたいとき

 今やろうとしていることが本当に自分のためになるのか、周囲の迷惑にならないか、今一度考えてみる必要がありそうです。
イライラして周囲に八つ当たりするのは禁物。
自己主張するより、控え目な態度が有益です。
知らないうちに浪費に走りがちですから、経済状況を見直して無駄を省きましょう。
欲張りすぎるとかえって損をしてしまいます。
必要以上を求めないのが無難です。

(p29より抜粋)


まず【女帝】そのもののエネルギーは、努力とは無縁なように思います。


わたしは、『努力が実って、よりよい成果が現れる時期が近づいてきています。』という説明に少し違和感を感じました。


また、『目の前のことに一生懸命取り組めば、必ず結果はついてきます。』という部分にも。


【女帝】は一生懸命さとも無縁なように思います。


【女帝】は、ただそこに座ってリラックスしているだけで、周りが勝手に繁栄していく世界です。


そして、この文章はどちらかと言うと【正義】の世界観に近いと思いました。


努力に見合った結果を得る=天秤が吊り合った世界




よって、【女帝】のカードには上記のような『精神論』は似合わないと思うのですが…


細かい?(笑)


また、逆位置のキーワードも気になりました。


●自己主張が強く、強引で空気が読めない

●でしゃばりで押し付けがましく、お節介による迷惑

●依存しすぎや、頼りにされすぎることからの破綻


これ、状況が結構固定されていますよね。


部分的には理解できます。


例えば「自己主張が強い」とか。


【女帝】のエネルギーが過剰になると「自己中心的」「快楽主義」「ワガママ」になるでしょうから。


行き過ぎると「怠惰」になってしまうし、「無秩序」でもあります。


でもだからといって、「強引で空気が読めない」や「お節介による迷惑」と書くのは、深読みになってしまうんじゃないかな~って。


「依存される」や「頼りにされすぎる」は、【女帝】が持つ女性性や母性が過剰に発揮された場合、起こり得るイメージなので納得できます。


著者によるイメージをわかりやすく文章であらわしただけだとは理解していますが、初心者はそのイメージを鵜呑みにしてしまいがちです。


イメージが固定してしまうと、リーディングが行き詰る原因になってしまいます。


もう一箇所気になったのは、


今やろうとしていることが本当に自分のためになるのか、周囲の迷惑にならないか、今一度考えてみる必要がありそうです。


自分にとって本当に大切なことはなんなのか。


それを考える必要があるときに出てくるのは【隠者】のカード。





…細かすぎる?(笑)


でも個人的にちょっと気になったんですよね~。


本当にちょっとだけ!(笑)


だって【女帝】って深く考えたりするキャラじゃないでしょ〜って。


【女帝】が逆位置のときは、「頑張りすぎ」とか「女性性を発揮していない」とか「甘え下手」とか、エネルギーが不足している場合の解釈も必要だと思います。


この本はリーディングの幅を広げる為の参考にはなり得るかもしれませんが、初心者が「いちばん最初に使う教科書」としてはオススメしません。


著者自身の独特な解釈は興味深く、勉強にはなるので、部分的な参考書として活用するのがベターだと思いました。


あくまでわたしの個人的感想ですが、参考になれば幸いです♪


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今日も最後までお読みいただきありがとうございます♪

Have a nice day!
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マルセイユタロットの「コイン2」のカードには作者名と年代がリボンに記されています。
が、マルセイユ猫タロットは例外で、ここには『Altissima quaeque flumina minimo sono labi』というラテン語の諺が書かれています。
訳すと『深い川は静かに流れる』。
分別のある人間や能力のある人間はむやみに騒ぎ立てたりしない、という意味だそうです。
…今回のわたしのことか?(笑)