長浜市は、滋賀県の東北部に位置し、北は福井県、東は岐阜県に接しています。
周囲は伊吹山系の山々と、琵琶湖に面しており、中央には琵琶湖に注ぐ姉川や
高時川、余呉川等により形成された豊かな湖北平野と水鳥が集う湖岸風景が広がり、
県内でも優れた自然景観を有しています。
余呉町(よごちょう)は、かつて滋賀県の最北端に存在した町です。
2010年1月1日、東浅井郡と伊香郡の他5町とともに長浜市へ編入されました。
冬場の寒さは、北陸沿岸地域以上に厳しく、旧余呉町は近畿地方で
唯一の特別豪雪地帯に指定されています。
加えて、人口3,800人、高齢化率38%で、多くの限界集落を有する超過疎地であるとともに、
第2次産業、第3次産業もほとんどありません。
今回は、廃校再生事例として2校を訪れました。
余呉湖にほど近い下余呉地区に旧余呉小学校が残っています。
国道365号、下余呉の信号を直進、県道284号沿いにあります。
門柱の銘板は年季が入っていますが、何とか判読できる状態です。
広い校庭は、雑草もなく綺麗に整備されています。
上段に、校舎群がコの字に並んでいます。
左手には、赤い瓦屋根の2階建てモルタル校舎です。
1957年(昭和32年)に建て替えられるまでは、板張りの木造校舎だったそうです。
中庭は、雑草に覆われており、長らく手入れもされていないようです。
中央の平屋建て校舎の正面玄関前に、大きな岩に校歌を刻んだ銘板が
見えました。
雪深い冬から待ちわびた春の訪れや、鏡のように美しい余呉湖の
自然を謳っています。
右手には、黒い瓦屋根の2階建てモルタル校舎です。
こちらは、壁面が劣化し黒ずんでいます。
中に廃校に、雑木に埋もれんばかりに、卒業記念のモニュメントが
見えます。男女生徒の立つ台座には、卒業生の顔が並んでいます。
銘板は文字が潰れていますが、恐らく「友情の像」でしょう。
製作年度は不明です。
右手の校舎の裏にも棟は続いていますが、
蔦が絡まり廃墟化しつつあります。
非常階段や窓の周囲は蔦色に変わっていますね。
窓から教室内に侵入していると思われます。
この辺りは、足を踏み入れることすら不可能となっています。
2010年9月に訪れてから2回目になりますが、
http://ameblo.jp/hiho-haiko/entry-11491651916.html
その際は、猿の群れに遭遇し落ち着いて撮影できませんでした。
やはり、目を引くのは一番古い講堂でしょう。
1927年(昭和2年)に建てられたものです。
屋根の形状、破風の小窓、玄関の造り等、趣向を凝らしたモダンな建物です。
閉校後は、「文芸の郷」として、「まち全体を美術館に」を合言葉に、
芸術作品を展示したり、舞台の公演が催されています。
さきほどの、校歌にも刻まれていた1番の最後の件ですね。
講堂の裏側です。
下見板張り、木枠の窓、講堂自体が芸術品と言えるでしょう。
旧余呉小学校(2005年廃校、新校舎へ移転)→「余呉まるごと里山芸術村」
長浜市余呉町下余呉
やはり、このアングルが落ち着きますし、気持ちが和みますね。
大きな杉の木と平屋の講堂が青空に映えて絵になります。
旧余呉小学校の沿革をみると、以下のようになっています。
2005年(平成17年)4月1日 - 余呉町立片岡小学校・余呉町立丹生小学校を統合、
現在の校地の新校舎へ移転。
2010年(平成22年)1月1日 - 伊香郡余呉町が長浜市に編入されたのに伴い、
長浜市立余呉小学校と改称。
現在の余呉小学校は、ここから約3km北上した国道近くにあります。
全校児童118名(2015年度)です。
県道284号を「ウッディパル余呉」キャンプ場を過ぎて、高時川に沿って
進みます。旧余呉町上丹生地区に入ります。
表札は往時のまま残っていました。
沿道から、校舎群が見えます。
左手は講堂、右手の緑屋根の建物は体育館ですね。
メインは、中央の木造校舎です。
薄ピンクの板張りに可愛らしい玄関ポーチが付いた洒落た建物です。
往時の教育スローガンですが、5番目の約束が切れて読めません。
時間をも守ろうという趣旨でしょう。
校舎の立つ高台の敷地は意外と狭くなっています。
2000年(平成12年)度の卒業記念作品が、窓に貼ってあります。
校舎の側面です。
正面玄関の柱には手作りの表札が掛っています。
「子ども自立の郷ウォームアップスクールここから」
「今日はなんとか営業中」
日頃の苦労が伝わってくるようです。。。
窓越しに撮ったのでにじんでいます。。。
2番のくだりは先ほどの卒業記念作品に書かれていましたね。
丹生小学校(2005年廃校)→「子ども自立の郷ウォームアップスクールここから」
長浜市余呉町上丹生1570
閉校後は、不登校児童生徒のための寄宿制自立支援施設として利用されています。
余呉の自然の中、木造校舎の温かなぬくもりの中で、少し家から離れて、
自立心を養い、いろいろな体験活動を通して、子供たちは元気と自信と生きる勇気を
取り戻していくそうです。
屋外ではみんなでスポーツ、屋内では陶芸などの製作活動のほか、
地域とのふれあい活動、学校で習う勉強なども行っているようです。
滋賀県湖北地方の豪雪地帯に、木の温もりで地域や子供たちを包み育てる
閉校校舎がありました。