今では改めて言う事でもない、
商売をしている人なら誰でも心掛けている事ですよね。
でも、これが実際にお店を経営し始めて、日々の業務に忙殺されると、
思わず忘れてしまいがちになります。
先日、コンサル先へ店頭デザイン提案に伺った時の話です。
今回のデザインはその店のコンセプト決めになるほどの重要なものでした。
しかし、オーナーと話し始めて5分も経たないうちに
オーナーからこのような言葉が出てきました。
「うちの店、バイキング形式にしようと思って・・・」
☆バイキング☆
大体の形は料金・時間を設定し、あとは食べ放題にするという売り方ですね。
ここで浮上してくるのが、双方のメリットです。
双方というのは客側と店側の二つを指しています。
何故、客側を先に書いたのか?
それはまず客側のメリットを最大限考慮してから、店側ができる要素をピックアップし、
店作りをしていく事が繁盛への自然の流れだからです。
そこで、このお店のオーナーへ双方のメリットに対するヒアリングをしましたところ、
店側のメリットしか出てきませんでした。
ですから、私はこのお店でのバイキング形式採用にはかなり消極的にならざるを得ないとお伝えしました。
でも、心の中ではバイキングにしたいと思われる気持ちはとても分かるような気がしました。
本当に良い食材を仕入れ、本当に体に良く本当に美味しいものを売っているのに、
何故、お客さんは入ってくれないのだろう?
こんな日が何日も続いたら、どうしても信念が揺らぎそうになると思います。
人間、こうなると新たな策を考えるようになります。
まだまだ認知されていないから他店にはないインパクトを出せば良いのでは?
では、バイキング形式にして、
こんな良いものを好きなだけいつでも食べる事ができればお客さんの満足度は飛躍的に上がるし、
口コミも
ドカ~ン!!
と発生するのではないか。
これはかなりのインパクトになるのではないかと。
何か新しい策を考えないといけない、これは素晴らしい考えだと思います。
お客さんの事を考える、これも素晴らしいと思います。
しかし、お客さんの事を考えるのであれば、
一度来てもらう事だけではなく、ずっと来てもらうためにはどうすれば良いのか?
ここまで考えないといけないですよね。
このお店では、残念ながら一度だけ来店させる策しか考えていませんでした。
それがバイキング形式をしようという結論にまとまったのでしょう。
だから、私は反対しました。
今回はかなりクドクド同じような事を書いてしまいました。
何故かと言いますと、実は3年ほど前私がまだ駆け出しのコンサルタントだった時に
担当していましたうどん屋で、
これと全く同じようなケースに出くわしたのです。
香川から本当に良いものを仕入れ、本当に美味しいうどんを関西でご提供されていました。
しかし、その店が入ったテナントビルの集客力が予想以上に弱く、
何ヶ月も赤字が続いてしまいました。
ただ、私は
最初は苦しいかもしれないけれど、本当に良いものをリーズナブルに真面目に出していれば、
お客さんはいつか分かってくれるから、ファンも増えていくから、
と、この店のオーナーに言い続けていました。
でも、実際に店を経営している側にとってはそんな悠長な事を言っていられないですよね。
「君は販促コンサルタントなのに、客一人呼べないのだね。」とキツい事も言われました。
そう言われてから数日もしないうちに、
この店は私に黙って
うどんの食べ放題をし始めました。
(せっかくの良いうどんがこれでは台無しになってしまう)
また、数日もしないうちに今度は惣菜の食べ放題をし始めました。
(既に何屋か分からへんやん)
この時、私はどのような行動を取ったか?
策も無くバイキングをしてしまうと、店の軸がぶれてしまって、
何屋か分からなくなる。
これくらいの知識は当時でも持っていましたが、
このバイキングを平然と見過ごしてしまいました。
挙句の果てにそのバイキングの集客促進チラシも作ってしまいました。
何故こんな事を許してチラシまで作ってしまったのか?
自分の売上が欲しかったからです、ただそれだけです。
自分の都合の良い時は奇麗事を言って、最終的には自分の事しか考えていませんでした。
どこにも信念が無かった。
最低ですよね。
コンサルタントがこんな考えに走ってしまったら、もう終わりです。
もうここまで書いたらこの店の結末はみなさんもお察しがつきますよね。
バイキングをし始めて数ヶ月で潰れてしまいました。
そして、オーナーは故郷の香川へ帰り、
仲の良かったスタッフも解散しました。
今、思い返して見ますと、
この店がバイキングしておらず、違う形で営業していたからと言って、
絶対に繁盛店になってたなどとは思いませんし、
この店が潰れたのは100%私のせいだなんていうおこがましい事も考えていません。
ただ、何故あの時もっと強く反対しなかったのか、
それが悔やしくて情けなくて仕方がありません。
だから、今は自分の目の前のお客さんだけでも、
破滅に向かうような事はなんとしてでも食い止めたいと思っています。
だから、私は今回の案に信念を持って、反対します。