今直ぐにでも行こうとする雅紀をなんとか
落ち着かせた夜
「翔君」
珍しく潤が俺の部屋に来た
「ん…どうした」
「…雅紀君さぁ…ニノ君に会えたとして説得で
きたとして…まぁその為に来たんだから
上手くいって欲しいとは思ってるんだけど
でも…そしたら…その後雅紀君はどうなっちゃ
うのかなって考えちゃったら
なんか 寝れなくなっちゃって…」
「そんな事 俺らが考えたってわかんねぇし
わかったところで何か出来る訳でもないし」
「雅紀君…あんなにいい子なのに…」
「あいつも其れなりの覚悟で来たんだから
しょうがねぇんじゃないの」
「そうだけど…なんかやるせなくて…」
「…」
「…ごめん……部屋戻るわ」
俯いたまま潤が部屋を出ていった
ため息ひとつ吐き
タバコに火をつける
薄明かりの中揺らめき消えていく煙り
なかなか寝付けなくなったその夜
夢を見た
どこかの山の道に佇む俺
見つめる先には一匹のきつね
草むらの中からこちらをじっと見ている
お互いに身動きせず
暫くの間ただ見つめ合うだけで
でもその瞳がどこか悲しげで
「………ま…さ…き」
と呼び掛けると
きつねは「コン」と鳴いて
草むらの奥に姿を消した
「雅紀!」
自分の声に目が覚め
起き上がった俺の頬には涙がつーと伝った