CBN規制の動き加速:厚生労働省が指定薬物への追加を検討
業界は自主規制で対応
大麻成分をめぐる法規制の網が、また少し締めつけられた。

2025年10月28日、厚生労働省の薬事審議会指定薬物部会は、カンナビノイドの一種であるCBN(カンナビノール)を「指定薬物」に追加することが適当だとする答申をまとめました。この決定は、国内で流通するCBN製品に大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、CBN規制の背景、規制プロセス、業界の対応、そして今後の展望について詳しく解説します。

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01 CBN規制の現状と背景

厚生労働省は2025年10月29日から11月27日までの間、CBNを指定薬物に追加する省令改正案に関する意見募集(パブリックコメント) を実施しています。
パブリックコメント募集URL↓↓↓




答申を受けた今回の改正案では、「6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-1-オール(CBN)」およびその塩類が新たに指定薬物として追加されます。

指定薬物に指定されると、医療や研究などの目的以外での製造、輸入、販売、所持、使用が禁止されます。

厚生労働省はCBNについて「精神毒性を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害を及ぼす恐れがある」と判断しています。

02 なぜ今、CBN規制なのか

CBNは5年ほど前から日本でも流通していましたが、規制が検討されるに至った背景にはいくつかの要因があります。

日本の薬物政策は、精神作用があり保健衛生上の観点から規制が必要な成分について、順次対応してきました。

近年では特に、合成カンナビノイド(HHCHやTHCHなど) が、THCを直接使えない環境下で拡大し、厚生労働省は包括指定や前駆体規制を含むスピード感で対応してきました。

大麻取締法の改正・施行によりTHCの扱いが厳格化され、CBD製品中にも検出下限値が設定されるようになりました。

この流れの中で注目が集まったのがCBNです。 CBNはTHCが酸化等で生成し得る近縁成分で、社会的認知の広がりとともにクッキー等の製品が急増しました。

03 CBN規制のスケジュール

現在進行中のCBN規制のプロセスは以下のようなスケジュールで進められています。

· 2025年10月28日:薬事審議会指定薬物部会がCBNの指定薬物への追加を答申
· 10月29日~11月27日:意見募集(パブリックコメント)期間
· 12月中旬ごろ:公布が予定
· 公布後10日を経過した日:施行予定

このスケジュールに従えば、2025年12月中にもCBNは指定薬物となり、規制対象となる見込みです。

04 CBNガイドラインの具体的な内容

全麻協が策定した「CBN含有食品ガイドライン」は、CBN製品の適正な流通と利用を促進するための詳細な基準を定めています。

ガイドラインでは、CBNの科学的知見が不足している現状を踏まえ、個人差やアルコール・薬剤との併用リスク、妊娠・授乳中の利用制限を強調しています。

使用方法については、少量からの摂取開始、ピーク作用(摂取後1~3時間)の考慮、運転や危険作業前の使用禁止を推奨しています。

また、20歳未満への提供禁止、強要やハラスメント行為の厳禁も明記されています。

05 規制が市場に与える影響

CBNが指定薬物に指定されると、医療や研究などの用途以外での製造、輸入、販売、所持、使用が禁止されます。

現在市場に流通しているCBN製品は、規制施行後は原則として販売や所持ができなくなる可能性があります。

厚生労働省は消費者に対し、CBNやそれを含有する製品について「購入や使用を避けるなど、安全性に十分留意してほしい」と呼び掛けています。

また、販売業者には「適切な処分等」を求めています。

06 日本のカンナビノイド規制の全体像

CBN規制は、日本のカンナビノイド規制全体の流れの中にある一部分です。

2024年12月には大麻取締法が改正され、THCの成分規制が導入されました。

この改正により、CBD製品におけるTHCの許容量は、オイルおよび粉末で10ppm、水溶液で0.1ppm、その他の製品で1ppmという厳しい基準が設けられました。

日本は世界で最も厳しいCBD規制を維持する国となっており、CBN規制もこの流れに沿ったものだと言えます。

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規制の網は確実に広がっている。CBNを指定薬物に追加する省令が公布されれば、市場から現在流通しているCBN製品はほぼ姿を消すだろう。

一方で、業界団体が先駆けて策定した自主規制は、消費者の安全を守りながら業界の健全な発展を目指すための貴重な枠組みとなり得る。

今後は科学的知見の蓄積と規制のバランスが、カンナビノイド関連市場の発展に不可欠だ。

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