駅に向かう市営バスで最寄り駅まで移動中、
世界一周100万円なる看板を見かけた。
ふむ、世界一周か。
世界一周したことが無い僕は
エキゾチックな光景を想像した。
自分は場末のレストランに居て
インド人だかアラブ人だかのオッサンが
ニヤニヤ笑いながら料理を運んで来るのだ。
トレイに盛られたパエリア風の地中海料理。
インドとかアラブは何も関係ない。
ただのイメージであって、想像そのものがカオスだ。
頭にターバン巻いたら似合いそう、という見立てだけの想像だ。
バスが信号で停止して
想像は現実に引き戻された。
ふと窓の外を眺めると
警備員の服装の中年女性が2人。
遠目にも恐ろしく厚化粧と分かる2人は
交差点で信号を待ちながら談笑していた。
失礼なことだが、その笑顔の何ともイビツなことよ。
しかし、ああ、むしろこういうのがエキゾチックと言うのかもしれない。
世界一周ってのは、このようなイビツなオバサン達が笑っているという
日常的な部分には立ち入らずに、ただ粛々と世界を回っていくんだろうか。
時間も、カネも、守るべき家族も無い。
僕のような中年男が思い浮かべる世界一周とは
はなはだウワベだけを取り繕った旅行であるようだ。
そんな妄想を覆すために、いつか本当に世界一周したいものだが
きっと100万貯めるのに必死で、旅行どころではないだろうな。