Monday満ちる /『Double Image』 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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報道の劣化が著しく加速している気がするんですね。

 

『ニュース』というのは、ある意味ひとつの文化だと思うんですよね。

 

『文化』というのはなにも、芸術や文芸、音楽やサブカルチャーだけではなくて、それらそれら一つ一つが『文化』の一部だと思います。

 

最近の報道には無理ぐり火事場の野次馬が食いついてくるような情報の垂れ流しになってしまっている。

しかも、偏向報道が闊歩している。

 

これというニュースソースが無い日は、「今日はこれといったニュースがありませんでした」という日があってもいいのではないかと思うんですね。

 

そういう時は上記した『文化』の別ジャンルの話題を深掘りしてもいいと思うんですね。

また、議論をやり合ってもいいと思うんですよ。

 

そういう事をやれば、この国の『文化力』が向上すると思うし、個性や多様性が生まれるはずです。

 

人生100年時代と言われる現代。

そういう、『文化』って非常に重要な部分だと思います。

 

そんな現代に憂いてみた一日の終わりに聴いている一枚がこれだ。

 

Monday 満ちるの1998年にリリースした5枚目のアルバム『Double Image』。

 

基本のトラックは当時の流行だった2ステップを基調としており、アシッド・ジャズらしさが抜け、ハウス・ミュージックの様相だ。

お洒落でカッコいい一枚だが、わたしは少し違和感を感じる。

 

流行の音を意識しすぎて、彼女自身の魅力が半減している気がするのだ。

 

そんな中、4曲目の『Victim』は彼女らしいジャジーなグルーヴで聴いていてしっくりとくる。

 

日本映画界の巨匠、小津安二郎がかつて言った言葉で「豆腐屋は豆腐しか作れないんだよ」という名言がある。

その言葉は、プロ意識を象徴しているし、自分を俯瞰で理解している言葉だ。

 

自分に腑に落ちる事柄は深みがあって説得力がある。が、表面的に似せても所詮はメッキでいずれ剥がれ落ちる。

 

なにかと『ファスト』が重宝されがちの現代だが、今のものが流行っていても、すぐに過去の産物になってしまう。

そこには、深みがないからだ。別の言い方をすれば『味わい深い』ものがないのだ。

小津が言った豆腐屋の話ではないが、流行りすたりに左右されない『味わい』が文化を作るのだ。

 

そういう聴き方でこのアルバムを聴くと、耳障りはいいが後に残るものが少ない。

 

つい辛口で批評してしまったが、今という時代があまりにも軽薄なものが溢れかえって、『流行りだから』という事で大量生産されるものが多すぎる。それは音楽だけとは限らない。ファッションや書物、現代アートにしてもそうだ。

それでは文化は生まれない。

 

たまたま、本作が今日聴いていたので比喩としてしまったが、そこら辺の薄っぺらい歌謡曲に比べると比較にならないくらいクオリティーは高い作品だ。

 

大事なのは自分軸を刺して、周りを気にせず自分の『文化』を貫くことで透けて見えてくる『個』を表現することだ。