今から15年ほど前になると思うが、屋久島に移住しようと思ったことがある。
移住して、ジャズ喫茶でもやろうと思い食品衛生責任者の資格を取り、現地に良さそうな物件を探しに行ったこともある。
何故屋久島だったのだろうか。
そう思ったのは直観で、それまで行ったこともなかった。
ただ何となく、「何か凄そうだ、屋久島」と思ったのだ。詩人の山尾三省の影響があったのかもしれないし、林芙美子の随筆「屋久島は366日雨が降る」というよくわからない一文に引かれたのかもしれない。
とにかく、東京の生活に疲れていたのは事実だ。
屋久島に行って感じたのは山や川や海の持つ力を身近で体験できるところだ。
世界遺産の島だけあって、当時は各国からのツーリストも多かった。
島の人たちはおおらかで、こんなことを言った。
「この島では半年働いたら十分食っていける」
なんて素晴らしいのだ。
そこで、益々屋久島に早く移住したくなった。
結局家の事情で屋久島ではなく、親の実家である宮崎になったのだが未だに屋久島に対しては憧れがある。
今日は、薄曇りだ。こういう日は屋久島を思い出す。
そんな心持で今聴いているのはこれだ。
Final Drop。人気Dj,DJ KeNsEIのプロジェクトで、chari chari、Goroらと組んで、屋久島のフィールドレコーディングをした、アンビエントな一枚。
風の音や波の音、そして爽やかな彼らの演奏は聴いているだけで癒されていく『音のサプリメント』。
残念ながら現在は廃盤となっており、中古でも見つけるのが困難な作品。
時の流れが緩やかになるこういう名盤は、世の中がギスギスした時代に必要な気がする。
リリースされたのは、2003年。こちらには屋久島でのレコーディングの為に撮影クルーを連れて行っていて、チルアウトなDVDも付いてくる。
ああ、屋久島に満足いくまで行きたいものだ。
わたしが、Kindle本で出版した『Music Of The Day Part2』絶賛発売中です。
Part2では朝7時台~正午台までに似合う曲をセレクトしています。