2005年に公開された映画『星になった少年』のオリジナルサウンドトラック。
坂本龍一がすべての作曲を手掛け、オーケストラセッションは映像を観ながら、坂本龍一が指揮をしたのだが、その際演奏者達は映像と音楽のあまりの素晴らしさに涙を流しながら演奏したという逸話が有名。
本作の事を書く前に、少しこの作品の事に触れておきたい。
この作品の元になったのが、坂本哲夢という像使いになりたいという夢をもっていた彼が交通事故により二十歳という若さで夭折した実在した青年の半生と家族や動物とのやり取りを描いた作品。
主演は『誰も知らない』でカンヌで男優賞を受賞し最近では若手実力派俳優として活躍している柳楽優弥。監督はフジテレビで数多くのヒットドラマを作ってきた河毛俊作。
哲夢の家族が経営している「小川動物プロダクション」という動物タレント事務所をやっているが経営は芳しくない。母がある日「象を飼う」ということから哲夢の人生が大きく変わっていった。象にどんどん興味を持っていった哲夢は他の飼育員から象使いの話を聞き、象使いになりたいという気持ちが強くなっていく。そして、彼はタイの象訓練センターに留学し、様々な困難を乗り越え、1年半後に象使いとなり帰国する。
帰国した哲夢は高校に入学するも、頭のなかは象への関心で一杯。休学し家業に専念し象使いとして活躍する。そんな中である少女と出会い、関係を深めていく。仕事もプライベートも順調にいっていた矢先、哲夢は交通事故で急逝する。
少年と象の美しいシーンを見ているだけでも涙が溢れそうになる。
そこに坂本龍一の音楽が流れ、観ている側の感情をさらに高めてくれる。
坂本龍一自身、象に大変関心を持っており、様々な活動を行っている(余談だが私も映画『ガイアシンフォニー』を観て、象に対し愛敬の念を持ち、自分の創作集団の名前を『象的主調』と名乗っていたことがある)。そんな中産まれたのが『エレファンティズム』であり、本作である。
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聴いているだけで感動して、言い知れぬ想いに胸が熱くなり涙が溢れそうになる。
気持ちが優しくなる。それだけでなく、心の中になにか暖かいものが生まれ、前向きになにかをしたくなる。そんな一枚です。