コルヒチン

 

歴史

ユリ科コルチカムColchicum autumnaleなどの球茎や球根から抽出されるアルカロイドで、ローマ時代からその炎症を抑える性質が認識されていた。

1820年にはフランスで痛風の治療薬として使用されるようになった非常に歴史の深い薬。

 

 

作用機序

微小管を構成するチューブリンと結合し、微小管形成を阻害することで

有糸分裂阻害をする。

 

 

コルヒチンはタキサン系抗がん剤と類似の効果をもつ訳だが、なぜ抗炎症作用を示すのか?

 

 

 かつてより好中球遊走能低下は知られていたが、

 近年の自然免疫の研究により微小管障害と抗炎症作用の関連が示されるようになった。

 

 前駆型IL-1β→活性型IL-1β への変換を制御するのが蛋白複合体”インフラマソーム

 

 インフラマソームは、NLRP3, ASC, Caspase-1 から構成され、

 特に重要なのがNLRP3(クリオピリン)インフラマソーム。

 

 NLRP3インフラマソームは、細菌、真菌、ウイルス感染に応じて活性化し、

 これらの病原体に対する感染防御に関わる。

 

 病原体に感染し、細胞内オルガネラが損傷されると、

 ミトコンドリア上のASCと、小胞体上のNLRP3が、

 細胞内輸送を担う微小管により近接する

 ↓

 インフラマソームの形成を促す

 NLRP3インフラマソームの活性化、caspase-1の活性化

 ↓

 IL-1β産生↑

 

 

 

コルヒチンは

微小管を介した物質輸送を破綻させるため、

NLRP3インフラマソームの形成を阻害することで

抗炎症作用を発揮する。

 

 

参考;

MB Derma No.255 2017 p89-90