一月半ぐらい前ですが、たまたま運転中に聴いていたJ-WAVEで、ピストン西沢氏の休み中なのか、代打でクリス松村氏と岡田マリア氏のふたりで番組をやっていた。
クリス松村氏のことは名前は知っていたが、テレビはほとんど見ないし(最近は少し事情が変化しているが)、彼の著作『「誰にも書けない」アイドル論』(小学館新書)は積読のままだった。
このJ-WAVEでの彼のラジオにかける想いはちょうど自分でもラジオのレギュラーコメンテーターを始めてまもないのでとても共感して聴いていた。さらにクリス松村氏のある意味容赦のない番組や番組スタッフへの注文、岡田マリア氏に安易な共感を誘わない口調も含めて、とても面白く興味をひかれた。こんな硬派な人がいたのか、と。
で、帰宅して上記の著作を一気に読んだが、これがとても面白いアイドル本であり、またクリス松村氏の半生の記にもなっていて、確かに題名通りに「誰にも書けない」、彼独特のアイドル論であり、名著であった。
ここで包括的な内容紹介をするつもりはない。
世代的にほぼ同じなので、彼の音楽体験は僕のものとかなり重なる。ただ僕は90年代から21世紀最初にかけてまったくアイドルへの興味はなく、経済学のみへの関心だったところが大きく異なる。
クリス松村氏は、現状の彼の言葉による「ピンポイント型のアイドル」についてはその消費の在り方を含めてかなり批判的である。それは単に批評的見地だけではなく、同時代精神や彼自身の半生とも重なって説得力をもつ。
実際にこの本を読んで、また最近、堀威夫さんとの対話などでの勉強も通じて、いまのアイドルの在り方にはかなり批判的になってしまった。閉じすぎていると。
むしろ海外での「アイドル」の活動の方に興味が大きく傾斜してきている。
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「誰にも書けない」アイドル論 (小学館新書 213)
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