ミスター・ノーバディ(2009年 フランス・ドイツ・ベルギー・カナダ)
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ジャレッド・レトー、サラ・ポーリー

奇才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督が13年ぶりに撮りあげたSFドラマ。
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西暦2092年。人が死ぬことのない世界。そこで死を迎える最後の一人となった118歳の老人ニモ。世界中が注目する中、インタビューに応えながら、怪しげな記憶を辿り、9歳の頃から自分が今まで取ってきた様々な選択を思い返していく・・・
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ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は大好きな監督さんです。「トト・ザ・ヒーロー」でも描いていましたが、自分が取った選択、取ったであろう選択、無理矢理取らされた選択により、人生が大きく変わっていく様を描くのが彼の好みなのです。バタフライ・エフェクト現象により大きく舵が変わっていく様を、怪しげな老人の記憶を辿りながら、何度も修復し、後悔し、分岐していき、複雑になっていきますが、心配せず身を任せていれば大丈夫です。
今回は彼の処女作である短編「窓から身を乗り出すな」がベースになっているのは間違いないと思いますが、独特な演出、編集により、彼の映画たちが頭の中で混ざり合って一本の映画になっていくような気がします。奇才、という言葉がピッタリくる監督さんですね。昔、海遊館でのヨーロッパ映画祭で来日された時に見にいきましたが、とても優しそうな人柄だったのを覚えています。(快く握手にもおうじてくれたし)彼の映画にずっと流れている眼差しに共通しているのを感じます。もうちょっと短くていいので、もう少し沢山撮って欲しいですね。次は何年後だろうか・・・
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