ハロルドとモード(1971年 アメリカ)
監督:ハル・アシュビー
出演:バッド・コート、ルース・ゴードン

さらば冬のカモメのハル・アシュビー監督が、60歳の年の差カップルを描いた佳作。

19歳のハロルドは、大富豪の息子。豪邸に住んでいるものの、虚無感から自殺の妄想に囚われ、いつも自殺を自演しては家族を困らせていた。中古の霊柩車を乗り回し、他人の葬式に参列する始末。そんなある日、また誰かの葬式に参加していると、ある老婆に声をかけられる。モードと名乗るその老婆はもうすぐ80歳を迎えるというのに、車を盗んだり、悪戯を繰り返し、好き勝手に人生を楽しんでいる。強引な彼女のペースに巻き込まれていくハロルドだが、彼女の人生観に影響を受け、少しずつ生きる喜びを感じていくのだった。

こういう映画が好きですね。楽しくて、時に滑稽で、どこか悲しくて、それでもしっかりとした足取りで人生を進んでいく主人公たち。彼らの心境の変化や、相手に対する想いに共感し、観ている自分もちょっと成長するような映画。心の引き出しに、きちんとしまっておきたくなる映画。こういう映画を観るために生きてるのだなぁと思ってます。

そしてこの空気感。どこか清々しい感じの、鼻がツンとするような空気感。なんでしょうかね。「さらば冬のカモメ」や、「スケアクロウ」、最近では「永遠の僕たち」そういえば「グリーンカード」なんかも同じような空気感でした。「ブロークン・フラワー」なんかもそうですね。感覚的すぎて誰にも伝わらない気がしますが、好きな空気感なんでしょうね。全然うまく説明できませんね。「パーフェクト・ワールド」もそうかな、何かこう簡素な、無駄なものを排除した、伝えたいものがはっきり見えなくても、しっかり持っている映画のオーラなんでしょうかね。

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