博士の愛した数式(2005年 日本)
監督:小泉堯史

交通事故により80分しか記憶がもたなくなった数学博士とそこに派遣されたシングルマザーの家政婦とその息子との交流を描いた作品。第一回本屋大賞を受賞した小川洋子のベストセラーが原作。

基本的に登場人物たちの心の交流と、数字自体がもつ魅力について描いているので、メメントのような記憶がもたないところに焦点を当てすぎるといけないのかもしれませんが、それでも80分という時間制限を設けることによりそのハードルを高くしてしまっています。その辺りの面白味が上手く伝わっていない気がしました。
寺尾聡、深津絵里の暖かい雰囲気を大事にした演技は非常に好感が持てましたが、日本映画を観ていてよく思うリアリティの無さは、小道具(自転車や服装等)、セットを通して伝わってきます。生活感が染み付いていないところでいくらいい演技しても、なかなか心に伝わりませんね。

本を読んでみたいな、と思いました。


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